『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだけハリウッドに「オマージュ」を捧げられてきたのか

Samurai Meet The World

2025年12月4日(木)18時20分
マーク・シリング(映画評論家)

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ジョン・ベルーシのネタにも NBCーNBCU PHOTO BANK/GETTY IMAGES

重厚な作品が続いた黒澤は、『隠し砦の三悪人』(58年)という気軽な娯楽大作も送り出している。戦国時代に2つの家が戦を交えた後、敗れて逃走する侍大将(三船敏郎)と雪姫(上原美佐)を、その正体を知らずに案内する農民2人のコミカルな掛け合いが印象的だ。

ジョージ・ルーカス監督はこの作品から『スター・ウォーズ』(原題: Star Wars: Episode IV A New Hope)のアイデアを得たと公言している。口げんかの絶えないC-3POとR2-D2は農民コンビを、キャリー・フィッシャー演じるレイア姫は雪姫をモデルにした。


三船の代名詞ともいえる役柄が誕生したのは、同じく黒澤の『用心棒』(61年)だ。みすぼらしい身なりのニヒルな浪人(主君のいない侍)が、ヤクザの抗争で荒廃した町にふらりと現れ、対立する組織を策略と剣術で翻弄する。

軽快なテンポと緻密なアクションの『用心棒』は、黒澤にとって海外で最大のヒット作の1つとなり、多くのリメークや模倣作を生んだ。

その先駆けが、イタリアのセルジオ・レオーネ監督の『荒野の用心棒』(64年 原題:Per un pugno di dollari)だ。

クリント・イーストウッドが「名無しの男」を演じた3部作の1作目でもあり、「マカロニウエスタン」の古典となった(リメークに関する権利料をめぐってレオーネは黒澤と東宝から告訴されたが、後に和解している)。

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