最新記事
映画

救いがたいほど「時代錯誤」なロマンス映画...フローレンス・ピュー主演の新作は「あまりにも保守的」

Death by Heterosexuality

2025年6月6日(金)18時17分
リッチ・ジャズウィアック(ライター、スレート誌人生相談員)

映画『We Live in Time この時を生きて』の場面写真、娘を抱くトビアス(アンドリュー・ガーフィールド)とアルムート(フローレンス・ピュー)

©2024 STUDIOCANAL SAS - CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION

同性との交際経験もあり、トビアスの告白に最初は取り合わないアルムートも、異性愛こそがノーマルだとする社会通念にはそういつまでも逆らえない。

間もなく卵巣癌と診断され、子宮の全摘出か部分摘出を選択することになる。全摘出なら再発リスク(そして死のリスク)は減るが、アルムートは「あなたと子供をつくる自分を想像できる」とトビアスに言い、後者を選ぶ。


いかにもアルムートが自発的に選んだように描かれるが、ニック・ペイン(Nick Payne)の脚本は奔放な彼女を、命を犠牲にしてでも男と結婚し出産するという「主流」に押し戻そうとする。

アルムートの選択は命を1つ生み出す一方で、彼女の命を奪う。この映画は最初から母親の命を守る気がないのだ。

愛はリアルに伝わるが

寛解から数年がたち、癌が再発。余命を悟ったアルムートは、「(治療に)耐えるだけの陰気な1年より、最高に楽しくて前向きな半年」を過ごしたいと宣言する。

この場面は序盤で登場し、映画のメッセージを伝える。そのメッセージとは「今を大切に生きよ」。娘も生まれたのにアルムートと正式に結婚していないトビアスは、ここでようやくプロポーズし、結婚式を計画する。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

習氏、台湾問題は米中関係で「最重要」 トランプ氏と

ワールド

米イラン協議、6日にオマーンで開催 核問題中心に討

ワールド

米政権、ミネソタ州派遣の移民職員700人削減へ=国

ビジネス

米財務省が1250億ドルの借り換え発表、入札規模は
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 3
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流していた? 首相の辞任にも関与していた可能性も
  • 4
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 5
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 6
    アジアから消えるアメリカ...中国の威圧に沈黙し、同…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    電気代が下がらない本当の理由――「窓と給湯器」で家…
  • 9
    戦争の瀬戸際の米国とイラン、トランプがまだ引き金…
  • 10
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中