最新記事
映画

救いがたいほど「時代錯誤」なロマンス映画...フローレンス・ピュー主演の新作は「あまりにも保守的」

Death by Heterosexuality

2025年6月6日(金)18時17分
リッチ・ジャズウィアック(ライター、スレート誌人生相談員)
映画『We Live in Time この時を生きて』の場面写真、アルムート(フローレンス・ピュー)の手を握るトビアス(アンドリュー・ガーフィールド)

癌と診断されたアルムート(左)は子宮の全摘手術を拒否し、トビアス(右)との間に子供をもうけるが ©2024 STUDIOCANAL SAS – CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION

<現代的なのはうわべだけ。根底にある価値観は古くさく、『We Live in Time この時を生きて』はお涙頂戴ものとしても中途半端──(ネタバレあり・あらすじ・レビュー)>

主演のフローレンス・ピュー(Florence Pugh)によれば、映画『We Live in Time この時を生きて』の主題は「最高にシンプルなこと」だ。「私たちがこの世に存在する唯一の理由、つまり愛し愛されることについて描いた」と言う。

映画『We Live in Time この時を生きて』予告編


だが筆者に言わせれば、これは最高にシンプルな恋愛映画というより、末期的に時代錯誤な異性愛映画だ。


ざっとストーリーを紹介しよう(ネタバレ注意)。

ジョン・クローリー(John Crowley)監督のラブロマンスは、イギリスを舞台に1組のカップル、アルムート(ピュー)とトビアス(アンドリュー・ガーフィールド、Andrew Garfield)の出会いから悲しい別れまでを追う。

時系列を分解し、2人の関係のさまざまな瞬間をシャッフルして見せるために複雑な印象を与えるが、実際にはそう複雑な話ではない。

アルムートの視点を中心に、『この時を生きて』は映画をヒットさせるのに必要な現代の感覚と、「多くの人に長く愛される」とピューが表現する作品になるのに役立ちそうな伝統主義の間で揺れ動く。

アルムートは寝室の引き出しにコンドームを常備する今どきの30代女性。イギリスとドイツのフュージョン料理が専門のシェフであり、仕事に情熱を傾けている。

出会って間もなくアルムートは子供は要らないと告げるのだが、トビアスは子供が欲しい。数週間後に子供の話を蒸し返した上で、愛を告白する。「かなりの確率で君と恋に落ちそうなんだ」

日本企業
変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本のスタートアップ支援に乗り出した理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

習氏、台湾問題は米中関係で「最重要」 トランプ氏と

ワールド

米イラン協議、6日にオマーンで開催 核問題中心に討

ワールド

米政権、ミネソタ州派遣の移民職員700人削減へ=国

ビジネス

米財務省が1250億ドルの借り換え発表、入札規模は
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 3
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流していた? 首相の辞任にも関与していた可能性も
  • 4
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 5
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 6
    アジアから消えるアメリカ...中国の威圧に沈黙し、同…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    電気代が下がらない本当の理由――「窓と給湯器」で家…
  • 9
    戦争の瀬戸際の米国とイラン、トランプがまだ引き金…
  • 10
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中