ビヨンセ&ケンドリック・ラマーが今年も止まらない...常に絶頂期、2人の伝説的アーティストの「意外な共通点」とは?
Two Stars in Their Prime
まだまだ続く黄金時代
一方のラマーは、ラッパーとして初めてピュリツァー賞の音楽部門に輝くなど、ヒップホップ界のレジェンドの名をほしいままにしている。彼もビヨンセ同様、その栄光の座に安住することはない。
『GNX』の収録曲ではSZAとのコラボ「ルーサー(luther)」がチャートのトップを飾ったが、知名度の低い新人とのコラボ曲も捨て難い魅力を放つ。
ロサンゼルス出身の音楽仲間と組んだ楽曲には地元愛があふれている。「ドジャー・ブルー(dodger blue)」では、「州間道路10号線を越えずに/ロスが嫌いだなんて言わせない(Don't say you hate LA when you don't travel past the 10)」と、自分の故郷をディスる連中に一撃を食らわしている。
ラマーは「ノット・ライク・アス」でも、ドレイクが地元ロスの文化を利用して稼いでいるとディスった(「おまえは俺たちの仲間じゃない/くそったれの植民地主義者だ(No, you not a colleague, you a f**kin' colonizer)」)。
ラマーは音楽活動を始めた頃からメンタルヘルスや格差の問題を取り上げ、「意識高い系ラッパー」と見なされてきた。ビーフの最中にドレイクは「ファミリー・マターズ(Family Matters)」をリリースし、「奴隷解放の英雄気取り」だと、ラマーをあざ笑った。
ドレイクに限らず、ラマーのラップを「クラブ向きではない」などと批判する人々もいる。だが『GNX』でラマーはトレードマークの詩的なリリックをふんだんに使い、低音のヒップホップのビートに乗せて、そんな批判をさりげなく覆してみせる。