最新記事
映画

オスカー5冠の快挙!『ANORA アノーラ』のショーン・ベイカー監督が語った「ユーモアとセックスと語られていない物語」

2025年3月12日(水)20時15分
大橋希(本誌記者)

Z世代の若者がセックスに関心を持たなくなったことが、この映画を作った理由でもある......というベイカーの発言があったというが、それについてはこう否定する。

「それは僕が言い始めたというより、世論調査についての話の中で出てきた言葉だ。『Z世代はもはや物語の中でセックスを見たいと思っていない』という調査結果があって、それについて話す中で『だから、この映画を作った』と言ったんだ。調査結果が出たのも、映画が完成した後だったかもしれない。

そもそも、その調査が正しいのかも分からない。でも本当なら悲しいことだと思った。だってセックスは人生の大きな一部で、とても重要なものだからね。正直に言うと、その調査結果には少しショックを受けた。

僕の映画はセックスワークをテーマにしてきたので、物語にセックスが含まれるのは当然のこと。でも、セックスワークとは関係がないが、それでもセックスやエロティシズムのある映画を作ったときに観客がどう反応するかは興味があって、それはぜひ挑戦してみたい。いつかエロティックな映画にも取り組んでみたい」

アニー役のマイキー・マディソンは、アカデミー賞主演女優賞に初ノミネートで初受賞した。彼女の抜擢については、とても簡単なプロセスだったという。

「これまでで一番簡単なキャスティングだった。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(19年)でのマイキーの演技がすごく印象的で、まだ『アノーラ』のアイデアすらなかった頃だが、「いつか一緒に仕事をしたい俳優」として彼女のことを頭の片隅に残していた。

その後、プロデューサーでもある妻のサマンサと一緒に『スクリーム』(22年)を公開初週に見に行き、彼女の演技に「もう他を探す必要はない」と確信した。彼女がアニーだ、と。映画館を出た瞬間、彼女のエージェントに連絡を入れたんだ。

マイキーは撮影の1カ月以上前からブルックリンのブライトンビーチ(物語の主要な舞台で、ロシア系移民が多い)に住んでいて、私たちはその環境にどっぷりと浸かることができた。

リハーサルの時間もしっかり取れて、きちんと話し合うこともできた。だから、彼女だけでなくキャスト全員と監督の関係が、より実りのあるものになったと思う」

ビジネス
暮らしの安全・安心は、事件になる前に守る時代へ。...JCBと連携し、新たな防犯インフラを築く「ヴァンガードスミス」の挑戦。
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米韓制服組トップ、地域安保「複雑で不安定」 米長官

ワールド

マレーシア首相、1.42億ドルの磁石工場でレアアー

ワールド

インドネシア、9月輸出入が増加 ともに予想上回る

ワールド

インド製造業PMI、10月改定値は59.2に上昇 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 5
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 6
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中