最新記事
映画

オスカー5冠の快挙!『ANORA アノーラ』のショーン・ベイカー監督が語った「ユーモアとセックスと語られていない物語」

2025年3月12日(水)20時15分
大橋希(本誌記者)

newsweekjp20250312011842-93d4f0f2f6292564bfca06f9e7111ca87edaa551.jpg

撮影現場でのベイカー監督(左から2番目) ©2024 Focus Features LLC. All Rights Reserved. ©Universal Pictures

『フロリダ・プロジェクト』もそうだが、『タンジェリン』はラストが素晴らしく印象的だ。『アノーラ』もさすが、という感じだが......。

「結末は、脚本を書く前から決めている。何カ月もかけて書くのだから、ぴったりの結末を考えておかないとならない。映画のストーリーテリングで、最も重要な部分だと考えているからね。

あなたが『タンジェリン』を挙げたことは面白いと思う。僕の映画の中で、『タンジェリン』と『アノーラ』は結末のスタイルがとても似ている。

今回、『タンジェリン』から多くのものを借りた。ディーゼルエンジンの音、車のワイパーの音からエンドクレジットへと導くシーンなど......どちらも音楽は使われていなくて、会話もほとんどない2人が心を通わせる。そういう意味で、この2つは対になる作品だ」

これだけの話題作ですっかり有名になったベイカーだが、今後もインディペンデント映画を撮り続けると話す。

「全ての独立系映画製作者については言えないが、少なくとも僕の場合、これまでほぼ完全な自主性を持って映画を作ってきた。

自分がやりたいことを自由にやることができたということだ。テーマ、キャスティング、編集の最終決定権などについて、スタジオとの仕事では得られない自由がある。

テスト上映があったり、ノート(上層部からの要求など)が来たりなど、スタジオとの仕事には多くの制約がある。もちろん全てがそうではなく、ドゥニ・ビルヌーブ監督がスタジオシステムを経験したときの話を聞いたら、彼は望むものを得られてとてもハッピーだったという。

でも僕はそんな冒険をするつもりはない。インディペンデントで作品を作り続けていきたいね」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

シェル、第1四半期は28%減益 予想は上回る

ワールド

「ロールタイド」、トランプ氏がアラバマ大卒業生にエ

ワールド

英地方選、右派「リフォームUK」が躍進 補選も制す

ビジネス

日経平均は7日続伸、一時500円超高 米株高や円安
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 5
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 6
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 9
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中