最新記事
映画

「私はプリンセスじゃない」...勇敢なモアナが背負う「続編病」の宿命

A Moana Wannabe

2024年12月13日(金)14時20分
デーナ・スティーブンズ(映画評論家)

楽曲はマーク・マンシーナと、サモア生まれでニュージーランド育ちのソングライター、オペタイア・フォアイが今回も担当。しかし、前作でとりわけ印象的な楽曲を作詞(あるいは共同作詞)したリン・マニュエル・ミランダは参加していない。

21年にグラミー賞で最優秀ミュージカル・シアター・アルバム賞を受賞したアビゲイル・バーロウとエミリー・ベアーが手がけた楽曲は効果的に挿入されているが、前作の「ハウ・ファー・アイル・ゴー」「シャイニー」「ユー・アー・ウェルカム」、さらには勇壮な船乗りの賛歌「ウィー・ノウ・ザ・ウェイ」のような深い印象は残らない。


今回の代表的な楽曲は、黄金の喉を持つクラバーリョが高度な技術で歌い上げ、ジョンソンがせりふをしゃべるように心地よく聴かせる。しかし私は、映画館を出て30分たつとメロディーを1つも口ずさむことができなかった。

エンドロールの途中で、モアナと仲間たちが将来、別の神話に関連した危機に遭遇するだろうと(あからさまに)ほのめかされる。ディズニーアニメの古典的名作を実写化するという新しい伝統に従って、まだ古典ではないが、前作の実写版が26年夏に公開される予定だ。

若き冒険家(モアナが強いまなざしで主張しているように、彼女を「プリンセス」と呼ぶのはやめよう)は、自分はどこまで遠く行けるのだろうと今も夢見ているかもしれない。もっとも、あなたが次の航海も一緒に行きたいと思うかどうかは、また別の話だ。

©2024 The Slate Group

MOANA 2
モアナと伝説の海2
監督/デイブ・デリックJr.
声の出演/アウリー・クラバーリョ、ドゥウェイン・ジョンソン
日本公開中

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請1.8万件増の24.1万件、2カ

ワールド

米・ウクライナ鉱物協定「完全な経済協力」、対ロ交渉

ビジネス

トムソン・ロイター、25年ガイダンスを再確認 第1

ワールド

3日に予定の米イラン第4回核協議、来週まで延期の公
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中