最新記事
映画

歌手の伝記映画で「俳優に歌わせるな」...歌姫エイミー・ワインハウスの映画は「悲惨なレベルの駄作」に

I Hate Music Biopics!

2024年11月22日(金)14時57分
ジャック・ハミルトン

無声映画の時代から映画はミュージシャンを題材にし、LPレコードが登場する前から俳優はそうした作品でアカデミー賞を受賞してきた。

だが賞狙いの大作がはやりだしたのは、レイ・チャールズに焦点を当てた2004年の『Ray/レイ』と、ジョニー・キャッシュの生きざまを描いた05年の『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』からだろう。

Ray (2004) Official Trailer - Jamie Foxx, Kerry Washington Movie HD


どちらも本人が死去して間もなく公開されたことも追い風となって興行的に成功し、賞レースでも健闘した。

『レイ』はいい映画だ。テイラー・ハックフォード監督は音楽物が得意で、主演のジェイミー・フォックスは名演技を披露した。脇にもケリー・ワシントン、レジーナ・キングら実力派がそろっていた。

フォックスは優れた歌手だが、製作陣はチャールズの音源に合わせて口パクさせることを選んだ。そのためチャールズの声が響き渡るたびに観客は圧倒され、映画を見に来た理由を再確認した。

Ray Charles | I Can't Stop Loving You (Visualizer)

一方『ウォーク・ザ・ライン』は冴えない。キャッシュに扮したホアキン・フェニックスのオーバーな演技は見ていてつらく、手あかの付いた描写も目立った。

さらに『レイ』と対照的に、フェニックスと妻ジューン・カーター役のリース・ウィザースプーンに歌わせた。カントリー界のビッグカップルが残した音源をなぜ使わなかったのか、理解に苦しむ。

Johnny Cash - I Walk the Line (Live in Denmark)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、公共放送・ラジオ資金削減へ大統領令 偏

ビジネス

英スタンチャート、第1四半期は10%増益 予想上回

ワールド

インドネシアCPI、4月は+1.95% 8カ月ぶり

ビジネス

三菱商事、今期26%減益見込む LNGの価格下落な
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 5
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 6
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 9
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中