最新記事

ドラマ

帰ってきたアダムス・ファミリー...ネトフリ版新作『ウェンズデー』の見どころは?

Burton’s Favorite Weekday

2022年12月16日(金)13時42分
ロクシー・サイモンズ

「普通の高校で浮いている子として、ウェンズデーを描くこともできた。でもネバーモアなら、オリジナルの世界観に沿ったキャラクターや物語を展開しやすい」

オリジナルとは、漫画家チャールズ・アダムスが1938年にニューヨーカー誌で連載を始めた一コマ漫画だ。

「漫画にはおかしなキャラがわんさか登場する」と、ガフは言う。「アダムス家の屋敷を出て、広い世界でそうしたキャラクターにスポットライトを当てたかった」

「はみ出し者」への共感

鬼才ティム・バートンはまさにそんなアプローチに引かれて参加を決め、全8話のうち4話を監督した。

ガフとミラーによれば、バートンはファンの意表を突くことに精力を傾けた。「このドラマは知られざるストーリーを語る新たな幕開け。既成の映画やアニメのリメークに、ティムは興味がなかった」とミラーは言う。

「彼を引き付けたのは、『アダムス』の世界の中で新しいものをつくるという発想だった。またティムは、はみ出し者のウェンズデーに親しみを感じていた。彼は昔から自分をはみ出し者だと思っていて、高校生活もウェンズデーと重なる部分が多かったらしい」

バートンが興味を示したのは「すごいことだ」と、ガフは言う。バートンが最後にテレビに関わったのは80年代だったから、監督をオファーしても断られるのではないかと2人は気をもんだ。

「ティム・バートンにぴったりな企画だと売り込んでも、先方のエージェントは『彼はテレビはやらない。興味がない』と素っ気なかった」。そうガフは振り返る。

「しかし打診しなければ最初から答えはノーだから、ダメ元で脚本を送った。宇宙のかなたに手紙を出すようなものだったが、宇宙から返事が届き、ティムと電話で打ち合わせをする運びとなった。ティムは昔からウェンズデーの大ファンで、脚本に共感したと話してくれた。『僕の高校にウェンズデーがいたらきっとデートに誘ったよ』って」

手応えはばっちりだった。2時間の映画ではなく8時間以上かけてストーリーを紡ぐドラマの形式にも、バートンは可能性を感じたようだ。

221220p62_WSD_02.jpg

はみ出し者のウェンズデーに高校時代の自分を重ねたというバートン(中央)  VLAD CIOPLEA/NETFLIX

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、イランの核兵器完全放棄望む 特使派遣の

ビジネス

金価格、年内に3000ドル割れも 需要低迷と成長見

ビジネス

韓国、対米通商交渉を加速へ 米韓首脳会談は中止

ワールド

貿易協議で合意の可能性あるが日本は「タフ」=トラン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 3
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 4
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタ…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 8
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中