最新記事

世界に挑戦する日本人20

今だから語れる、米倉涼子が明かしたブロードウェイ『シカゴ』初主演の舞台裏

2022年9月9日(金)11時40分
小暮聡子(本誌記者)

今年11月に『シカゴ』ブロードウェイ公演に主演する米倉涼子 PHOTOGRAPH BY ATSUKO TANAKA FOR NEWSWEEK JAPAN, HAIR AND MAKEUP BY SEIICHI OKUHARA (SUZUKIOFFICE), STYLING BY MARIKO ENAMI

<ブロードウェイの大人気作『シカゴ』でアジア人初となる主演を果たしてから10年。「歓迎されていない」ところから始まった、今年4度目となるミュージカル最高峰への挑戦【特集 世界に挑戦する日本人20】より>

「ミュージカル」の代名詞である、ニューヨークのブロードウェイ。その中心的劇場で今年26周年というロングランを続ける大人気作『シカゴ』に11月、米倉涼子が4度目の主演を果たす。2012年にアジア人として初めて主役ロキシー・ハートを演じるという快挙を成し遂げ、今年は10年目に当たる米倉に、本誌・小暮聡子が話を聞いた。20220906issue_cover200.jpg

◇ ◇ ◇


――ブロードウェイ・デビューはどんな経緯だったのか。

08年と10年に『シカゴ』の日本公演(日本語版)でロキシー役を務めたときに、(もう1人の主役)ヴェルマ・ケリー役を演じていたアムラ・フェイ・ライトさんの存在が大きかった。彼女は南アフリカ出身で、イギリスでヴェルマ役を演じてからブロードウェイに渡った人。アクセントなども、すごく苦労されている方だと思う。私が今までに見たヴェルマの中で一番好きな人でした。

そのアムラが日本語で演じるために一生懸命に日本語を勉強していて、みんなと仲良くやっている姿を見て、すごいなと思った。2人で遊びに行ったりしながら、包み隠さず話してくれる気さくな方がいつも横で踊っていて。この人みたいになりたいなって思った。アムラもこれだけ頑張っているんだから、私もあっちに行ってみたいって、いま思えば浅はかな考え(笑)。

絶対に無謀だと分かっていたけれど、でももし英語をちゃんと覚えられて、できるんだったらやりたいなって。10年の時点から本当に思い付きだけどやりたいと言っていて、それが念願かなって実現した。

――英語は得意だったのか。

まーったく(笑)。私、英語が一番難しいと、一生思っていると思う。高校卒業後は英会話学校みたいな専門学校に通ったんですが、全然駄目でした。ロキシー役をやるときに改めて勉強しました。

――あの場所で主演することに、怖さはなかったのか。

そういうことを考えないでまず立ちたいと思ってしまったので、それからですよ。いつも憧れていた劇場に行ってみて、立ってみたときに、なに言いだしちゃったんだろうと。その後はずっと怖かった。練習を一緒にやってくださる先生とか、マエストロ(指揮者)は「よく頑張ってるね」とは言ってくれるけれど、「うん」とは言ってくれない。ものすごく苦しかった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ハマス、米停戦案に「前向き」回答 直ちに協議の用意

ビジネス

焦点:航空機の納入遅れ、背景に高まる「特注高級シー

ワールド

米テキサス州の川氾濫、少なくとも13人死亡 キャン

ワールド

アングル:ウクライナへの軍事支援、国防産業の強化に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 5
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 8
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中