最新記事

未来をつくるSDGs

のん「芋づる式SDGsのススメ」

One Step at a Time

2022年4月19日(火)17時35分
岩井光子(ライター)
のん

「SDGs People」第1号に2020年に選ばれた女優ののんさん PHOTOGRAPH BY TOMOHISA TOBITSUKA FOR NEWSWEEK JAPAN; MAKEUP BY SHIE KANNO (KURARA SYSTEM), STYLING BY IZUMI MACHINO

<趣味の服作りからSDGsを意識し始めたのんさん。大いなる意思も声高な主張も必要ない、日常の気付きをきっかけに生活を変える「スタンプラリー」のような取り組み方とは?>

SDGs(持続可能な開発目標)達成年の2030年まで10年を切り、国連はSDGsを「自分ごと」に落とし込んだ行動を促している。

2020年に官民連携のジャパンSDGsアクション推進協議会は、SDGsに主体的に取り組む「SDGs People」(以下ピープル)第1号に女優ののんさんを選定。趣味だった服のリメークからSDGsの入り口を見つけたのんさんにライターの岩井光子が話を聞いた。

◇ ◇ ◇


――ピープルになってSDGsのイメージは変わった?

それまでは簡単に手を出してはいけないものだというイメージを持っていました。大いなる意思やすごい熱量を持って声高に主張したり、人やお金を動かす規模の大きなものだと。

ピープルになってからいろいろ学ばせてもらって、もっと個人的なことから捉えていけばいいと分かって、イメージが変わりました。

――のんさんのキャッチコピー「地球に恩を売る!」はオリジナリティーがある。

ハードルを下げることが大事だと思いました。完璧を目指さなくても、ちょっと意識するだけで世界の見え方は変わっていく。

初めの一歩は日常的、個人的なことからでいいと思います。私はそれですごく踏み出しやすかった。

SDGsmook20220419-non-2.jpg

袖を付け替えたり、フリンジをアクセントにしたりしたのんさんの私物服 PHOTOGRAPH BY TOMOHISA TOBITSUKA FOR NEWSWEEK JAPAN

――のんさんにとってはそれが「アップサイクル」だった。

そうですね。4、5年前にミシンをプレゼントされてから服作りが趣味になって、着なくなった服や似合わなくなった服を作り替えています。

私は服を捨てるという発想は昔からなく、古着屋さんも大好きでよく行きます。

でも、アップサイクル(※)という言葉を知ったのはピープルになってから。自分が好きでやっていた服のリメークがアップサイクルだったことが分かって、SDGs12番目の目標「つくる責任 つかう責任」にすごく共感しました。

(※アップサイクル:廃棄物や不要なものにデザインやアイデアなどで新たな付加価値を加えること)

最近は作業するたびSDGsを意識するので、12番を入り口にこれも、これも当てはまると気付いて、芋づる式に意識が広がっています。

――目標ありきで今できることを自由な発想で考えるのがSDGs。のんさんの自由な創作スタンスと共通点もあるのでは。

そうですね。目標がたくさんあるから一見難しく見えますけど、私は分かれているからこそいいなと思います。

例えば、「エコ」という言葉でくくられていると、当てはまるのは環境への配慮という一部分だけ。

でもSDGsはもっと範囲が広いから、スタンプラリーみたいに「これもそうじゃない?」と自由な発想で一つずつ学んでいくこともできますよね。

大いなる意思を持ってやろうとハードルを上げると縛られますが、SDGsを思うことが大げさなことでなく、普通のことになればいいなと思っています。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

UCLAの親パレスチナ派襲撃事件で初の逮捕者、18

ワールド

パプアニューギニアで大規模な地すべり、300人以上

ワールド

米、ウクライナに2.75億ドル追加軍事支援 「ハイ

ワールド

インド総選挙、首都などで6回目投票 猛暑で投票率低
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目の前だ

  • 2

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」...ウクライナのドローンが突っ込む瞬間とみられる劇的映像

  • 3

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 4

    批判浴びる「女子バスケ界の新星」を激励...ケイトリ…

  • 5

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 6

    この夏流行?新型コロナウイルスの変異ウイルス「FLi…

  • 7

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 8

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 4

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 5

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 6

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 7

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 8

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 9

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 10

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中