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考えることがストレスになる人とワクワクできる人の決定的な違い

2021年4月4日(日)15時40分
齋藤 孝(明治大学文学部教授) *PRESIDENT Onlneからの転載

「考えるべき問題」と「考えても仕方がない問題」を見極める

考えることが好きになり、習慣になったとしても、つねに答えが見つかり、成果を出せるようになるわけではありません。とくに勉強は、すればするほど、どれだけ考えてもわからないものごとが現れるものです。

そんなときは、考えるべき問題と、考えても仕方がない問題を見極めて、後者についてはいったん考えるのをやめることをおすすめします。

なぜなら、プロの研究者が何時間もかけて難問に取り組むのならいざ知らず、ふつうの人が同じ問題に1時間も取り組むのは、考えていないに等しい場合がほとんどだからです。

最初は真剣に考えていたとしても、糸口がまったく掴めないまま、気づいたらただ考えをめぐらせているだけの場合がよくあるのです。

そこで、「あきらめないぞ!」と粘るのではなく、あっさり考えるのをやめましょう。

そうして時間を空けてからまた考えれば、別の角度から答えにたどり着く場合があります。また数学などは、むしろ答え(解法)を先に見て、それを丸ごと覚えてしまえば、考え方を身につけることもできます。

考えるべき問題と、考えても仕方がない問題を見極めるのは、勉強に限らず、仕事や生活全般において使える方法です。

この簡単な仕分けをするだけで、効率的に思考の質を上げていけるでしょう。

「自分ならどうするか?」を常に問いかける

思考力を上げるには、「自己内対話」のスキルを身につけると効果的です。

自分のなかにもうひとりの自分を持っておき、ツッコミを入れたり、対話したりしながら考えるわけです。

「この考え方で本当にいいの?」
「ロジックが甘いんじゃない?」
「この10分間、思考が堂々巡りしていない?」

そんなふうにして、脳内で議論しながら思考を進めていく。わたしは、むかしから自己内対話の習慣があり、夢のなかで論敵(おそらく自分なのでしょう)と議論して、ぐったりして目を覚ますときもあるほどです。

また、小学生の頃から、いつも先生の話を「こう聞かれたらこう答えよう」と考えながら聞いていました。これも、ある種の自己内対話かもしれません。すると、すべてが「自分ごと」になっていくので、なにを聞かれても、すぐ反応して自分の考えをいえるようになりました。

books20210403.jpgよく授業や会議で発言を求められ、「えーっとですね......」と口ごもったり、黙り込んだりする人がいますが、わたしにはちょっと信じられません。なぜなら、「これを聞かれたらこう答える」と考えながら臨んでいない証拠であり、その場で起きていることが他人ごとになっているからです。

少なくとも、事前に準備をして臨めば、それなりの発言はできるはずではないでしょうか。

考えている人は、情報や知識をインプットする段階から、「自分ならどうするか?」を意識しているものです。

だからこそ、質のいいアウトプットができるのです。

齋藤 孝(さいとう・たかし)

明治大学文学部教授
1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。ベストセラー作家、文化人として多くのメディアに登場。著書多数。著書に『ネット断ち』(青春新書インテリジェンス)、『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『語彙力こそが教養である』(KADOKAWA)『新しい学力』(岩波新書)『日本語力と英語力』(中公新書ラクレ)『からだを揺さぶる英語入門』(角川書店)等がある。著書発行部数は1000万部を超える。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」総合指導を務める。


※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
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