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国際交流

ハリウッドも驚く韓国の映画撮影 日韓スタッフが衝突する共同制作の実態とは?

2019年9月4日(水)19時35分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

──絵コンテ一つとっても日韓で撮影方法に違いがあるなら、撮影現場で日韓スタッフ同士の摩擦は起きやすいのでは?
「スタッフ同士の摩擦は大小、毎回起きる。時間のないなかで大人数が動くからぶつかるのは当たり前。なるべく衝突の回数が少なくなるように、事前にお互いの国の方法論などをしっかりと理解させようと努力する。摩擦が起きるということは、お互いを信じられていないということだから、コミュニケーションを十分に取りあい、仲間意識をお互いにもてば問題が起きてもスタッフ同士助け合うようになる」

──では、藤本さん自身が将来映画を監督するとしたら日韓どちらをベースに撮影したいか?
「どちらかと聞かれれば、やはり韓国。映画界に足を踏み入れたのが韓国だったということもあるが、韓国のほうが日本よりも映画を撮る環境が整っていると感じる。低予算映画に対する支援制度も多いし、映画にかける基本的な撮影期間も日本に比べて長い(この点はスタッフのギャラの向上によって、どんどん短くなる恐れはあるが)。また、ロケで撮影可能な場所が日本に比べて多いのは何よりも良い点だろう。さらに、韓国人の国民性として、ダメ元でもとりあえずやってみて、問題が起きたらその時考えようという、推し進める力があるのが魅力だ。これにより、新しい挑戦に満ちた映画がどんどん生まれる原動力になっている」

最後に藤本さんは「映画というのはかなり大変な仕事なので、映画が好きではないと務まらない。それ故、合作や混合チームで撮影したとしても、国は違えども集まるスタッフは皆映画好きという共通点がある。多少の摩擦があったとしても、その共通点さえあれば、それでもう問題はゼロになる。合作というと大がかりに聞こえるけど、当たり前のこととして捉えればよい。各国混合スタッフチームがもっと増えればいいなと思う。周りの人から受ける刺激は大きいが、外国人スタッフから受ける刺激はさらに大きい。新しいものをお互いに取り入れれば、さらなる発展につながるだろう」と語った。


韓国映画界では以前から、専門用語として日本語が結構使われていた。しかし、今現在韓国で活躍する監督やスタッフの中には、本場アメリカの映画学校に留学して帰ってきた「ユハクパ(留学派)」と呼ばれる人も多く、現場では以前にもまして英語の専門用語も飛び交っている。海外から良い部分を吸収し持ち帰ったり、海外チームを誘致し撮影させたりすることによってお互い学び、現場の効率化を図っている。そして、いつのまにか本場ハリウッドの人々も驚かせるような現場作りに進化しているようだ。

映画コンテンツは今や全世界配信などグローバルに、ゲームやアニメ化などジャンルを越えて観客のもとに届けられているが、制作の現場でもボーダーレス化は進んでいる。より良い作品を作るというゴールさえしっかり共有されていれば、国によって違う撮影方法など小さな垣根となり、飛び越えることなど容易なことだろう。


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