最新記事
教育

子供が「挑戦しない」「すぐ諦める」問題...世界のエリート校が注目する「子供のレジリエンス」の育て方

2023年8月8日(火)10時52分
足立啓美(一般社団法人日本ポジティブ教育協会代表理事)

71-20230807.jpg

きみのこころをつよくする えほん』(主婦の友社)より


幼児期と思春期では、発達課題も違いますし、直面する逆境の種類も変わります。青年期は周囲との関係性が大きく関わってきますが、幼児期は生まれ持った気質や自分の気持ちを調整する力などに注目します。

とはいえ、レジリエンスは連続性のあるものなので、世代を超えた共通点も多くあります。例えば、楽観性、自己理解、未知の出来事への肯定的態度といった要因です。

 
 
 
 

レジリエンスを生涯かけて育て続けていく力であると考えた時、幼児期・学童期から、このような力の基礎を作り始めていくことが大切なのです。

また、幼少期から学童期において重要になるのが「自分の感情と上手に付き合う力」を育てることです。特に、不快な感情を持ちながらも我慢できる力の存在は、以降のレジリエンスの要因を育てることに大きく影響します。

例えば、せっかく作ったパズルや工作をきょうだいに壊されてしまったとき、気持ちを立て直してすぐに新しく作り直し始めることができるでしょうか。思い通りにいかないことがあり感情が大きく揺れても、自分を落ち着かせることができるでしょうか。

このような場面で感じるネガティブな感情を、自分で折り合いをつけて調整していく力を育てていくことが大切なのです。ネガティブ感情は悪者ではなく、自分の心と体を守り、自分でも気がつかない本当の気持ちを知るための、大切な感情です。

子どもたちには、ネガティブ感情は、恐れる対象ではなく、大事なことを教えてくれる味方であり、友達であると説明しています。

ネガティブ感情と仲良くする方法、つまり自分で調整する力を身につけておくと、大きな変化や逆境を経験した際に、「ここから立ち直れる!」という大きな自信となり、子ども達の心を育てていきます。

それぞれのレジリエンスの発揮の仕方がある

レジリエンスという力が注目されてから、数多くの研究知見が世に出てきました。一言でレジリエンスと言っても、置かれている状況や立場はさまざまです。

病気という逆境もあれば、貧困という困難もあります。個人のレジリエンスだけではなく、組織全体のレジリエンスを育てるという視点もあります。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

グリア米通商代表、スイスや中米諸国などと関税協議

ビジネス

米人員削減10月に急増、22年ぶり高水準 コスト削

ビジネス

テスラ株主、マスク氏への8780億ドル報酬計画承認

ビジネス

米肥満症治療薬値下げの詳細、トランプ氏と製薬大手2
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 5
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 8
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 9
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 10
    約500年続く和菓子屋の虎屋がハーバード大でも注目..…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中