最新記事

キャリア

大企業に派遣で入り、34歳で執行役員になった男が日本企業の「決められない」体質から学んだこと

2021年3月8日(月)19時55分
二宮英樹

careerbook20210308ninomiya-2.jpg

Yagi-Studio-iStock.

会議で通したい議案があれば、会議に参加しない人でも、関係がある人には会議前に根回しをしてしまう。出席者のうちキーパーソンとなる人の上司にあたるような人には必ず、事前に根回しをしておく。

「根回し2.0」は提案が通ったところで終わりではない。全ての仕事を終えたところに、非常に重要なポイントがある。それは、その仕事を自分の手柄とせず、チームの手柄、あるいは他の人の手柄とすることだ。

最も活躍した人が手柄を自分ではなくチームのものとしたら、嫉妬などのマイナス感情が発生せず、チームに絶妙な一体感が生まれるのだ。

大塚グループでの私の仕事はさらにうまく回り始めたのだった。

即戦力の英語コミュニケーション力を身に着けた方法

日本の組織でうまく立ち回り、プロジェクトを推進することができるようになった。そのうち大塚グループの海外の関連会社との折衝を頼まれるようになった。

そこには「根回し2.0」以前の障壁があった。英語でのコミュニケーション力だ。英語の会議では、"コピペ&パクリ"で学んだ文章作成力ではまるで太刀打ちできない即戦力のコミュニケーション能力が必要となる。

今でこそ、中東欧デジタルサービス協会(拠点:ポーランド)でアドバイザリーボードに名を連ねたり、米国のサイバー専門コンサルタントと連携する仕事をしているが、先に述べたように私は高度な英語力を持ち合わせているわけではない。

英語の会議で「目的は何だ?」「何がしたい?」「具体的な方法や判断基準は?」「認識の差異がある部分は?」など次々に繰り出される質問にも、瞬時に回答しなければならない。

仕事の遂行は、契約か信頼関係のいずれかで前進していくもの。人と人とがコミュニケーションを図り、互いを理解して、落としどころをつくっていく作業からビジネスの活動は始まる。

とにかく正確に伝達するために、初めはシンプルな英単語を使って取り組んだ。人間関係を築くために必要な、家族や趣味の話などの日常会話はできるので、業務に関わる法律やIT用語、システムの活用法についての英文などを、海外メールの添付資料や欧米人が作成した英語の会議資料などを積極的にシェアしてもらい、参考にして採り入れていった。

英語に限らないと思うが、語学は使えば使うほど身に着いていくものだ。

海外との会議折衝を繰り返すたびに私の英語力も上がり、現在も自分のビジネスに活きている。

仕事の中で積み上げて獲得した英語力は、同時に自信を与えてくれた。苦手なことでもやればできるじゃないか、と。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、グリーンランド特使にルイジアナ州知事を

ビジネス

午前の日経平均は大幅続伸、5万円回復 AI株高が押

ワールド

韓国大統領府、再び青瓦台に 週内に移転完了

ビジネス

仏が次世代空母建造へ、シャルル・ドゴール後継 38
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 5
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 6
    米空軍、嘉手納基地からロシア極東と朝鮮半島に特殊…
  • 7
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 8
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中