最新記事

投資の基礎知識

日本の株価に大きな影響を与える「外国人投資家」の正体

2019年2月7日(木)18時30分
山下耕太郎 ※株の窓口より転載

M-A-U-iStock.

<外国人投資家の動きを見極めることが、相場の動向を見通すカギになる。彼ら「外国人投資家」は、海外のファンドだけではない>

現在、日本株の6割以上が海外のファンドなどの「外国人投資家」によって売買されていると言われます。彼らは株価にどんな影響を与えているのでしょうか。その動きを見極めることは、相場の動向を見通すための重要な鍵となります。

投資家の動きをつかむには

株式市場には様々なプレーヤーが存在します。東京証券取引所(東証)が定期的に公表している「投資部門別売買動向」を見ると、そうした投資家たちの動きを把握することができます。

その中でも株式市場に大きな影響を与えているのが、売買代金の約6割を占める外国人投資家です。その定義と、彼らがどのような売買手法を行っているのかを詳しく解説していきます。

「投資部門別売買動向」とは?

投資部門別売買動向とは、東証が毎週第4営業日に公表する、個人、外国人、金融機関など投資家ごとの前週分の売買動向をまとめたものです。主に次のような項目に分かれています。

・投資信託
・事業法人
・金融機関(生損保・銀行・信託銀行)
・個人(現金・信用)
・外国人投資家

日本株売買の6割以上が外国人投資家

この中で注目したいのが外国人投資家の売買動向です。

日本の上場企業のうち、99%以上が日本に本社を置く"生粋"の日本企業です。株主も、多くは国内金融機関や個人投資家で、およそ7割を占めています。外国人投資家は3割程度に過ぎません。

しかし、日本株売買のシェアとなると、外国人投資家の割合が約6~7割に跳ね上がります。

株価形成に影響を与えるのは、株式の保有ではなく、実際に売買を行っているかどうかです。株式を大量に保有していても売買しなければ株価への影響はありません。

さらに、相場動向に影響を与える先物市場においては7~8割が外国人投資家とされ、「日経平均株価が500円以上動く時は背後に海外勢がいる」とも言われています。

「外国人投資家」とは?

投資部門別売買動向における外国人投資家とはどのような人たちなのでしょうか。

東証は、外国人投資家を「日本国外の住所から出された注文」と定義しています。国籍ではなく、拠点のある住所が国外かどうかがポイントです。

したがって、大手金融機関など日本の機関投資家がアメリカやヨーロッパなどの投資顧問会社に資金を預けている場合も、外国人投資家に分類されることになります。

そうはいっても、外国人投資家の大半は純粋な海外マネーです。ヘッジファンドやコンピューターによるHFT(高頻度取引)も含まれる一方、長期保有の投資家も多くいます。

ただ上記のように、一部にジャパンマネーが含まれているなど、ひとくちに「外国人投資家」と言っても、その投資手法や参加者の顔ぶれは多彩なのです。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

アングル:屋台販売で稼ぐ中国の高級ホテル、デフレ下

ワールド

メラニア夫人、プーチン氏に書簡 子ども連れ去りに言

ワールド

米ロ首脳、ウクライナ安全保証を協議と伊首相 NAT

ワールド

ウクライナ支援とロシアへの圧力継続、欧州首脳が共同
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に入る国はどこ?
  • 4
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 5
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 6
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 7
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 8
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 9
    「デカすぎる」「手のひらの半分以上...」新居で妊婦…
  • 10
    【クイズ】次のうち、「軍事力ランキング」で世界ト…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 7
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 8
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 9
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 10
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中