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自衛隊の中東派遣、「情報収集」目的で政府検討 ホルムズは除外=関係筋

2026年03月16日(月)15時57分

 日本政府が自国の関係船舶や乗員保護のための情報収集を目的に、中東地域へ自衛隊を派遣する可能性を探っていることが分かった。写真は高市早苗首相。都内で2月撮影(2026年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Tamiyuki Kihara

[東京 16日 ロ‌イター] - 日本政府が自国の関係船舶や乗員保護のた‌めの情報収集を目的に、中東地域へ自衛隊を派遣する可能性を探っ​ていることが分かった。トランプ米大統領が日本などに期待を示すホルムズ海峡への護衛艦派遣は、戦闘が続く現時点で難しいと判断。⁠ペルシャ湾やホルムズを除外して派遣​した2019年と同様の形を取ることを視野に入れている。複数の日米関係筋が明らかにした。うち一人によると、19日の日米首脳会談で高市早苗首相がトランプ氏に「派遣の検討」を伝達する案も浮上している。

関係筋の一人はロイターの取材に、「首脳会談でトランプ氏が高市氏に自衛隊の艦船派遣を求める可能性がある」と述べた上で、「高市氏は何らの形で派遣を『検討する』⁠と伝達することになるだろう」と明らかにした。日本政府が最も大きな派遣理由とするのは「情報収集」であり、ペルシャ湾内やホルムズ周辺にとどまる日本関係船舶や乗員保護につなげ⁠る狙いが​あるとも説明した。外務省によると、現在も同湾内に日本関係船舶が45隻停泊し、うち5隻に計24人の日本人が乗船している。

別の関係筋によると、首脳会談で高市氏はイランの核開発は受け入れられないとの立場を表明した上で、「事態の早期鎮静化」をトランプ氏に強く要請する意向だ。そのために国際社会が連携して取り組むことの必要性を訴える方向でも調整している。同関係筋は「戦闘が続く限り、その地域への自衛隊派遣には限界がある」と述べ、現時点でペルシャ湾やホルムズへの直接的⁠な派遣は想定していないとの考えも示した。

高市氏は16日の参院予算委員会で、米国からホルム‌ズの護衛活動に参加するよう要請を受けていないとする一方、「日本政府として必要な対応を行う方法を現在検⁠討中だ」⁠と述べた。「護衛艦の派遣についてもまだ一切決めていない」としつつ、機雷除去、船舶防御、各国軍への協力、情報収集の地理的範囲の拡大を例に挙げ、政府内で講じ得る対応の検討を進めていると強調。「根拠法、今起きていること、日本でできること、できないことの整理を行っている。閣議で決めなければいけないので、関係省庁と議論の末決めていく」とし、新たな対応を閣議‌決定することも視野に調整する方針を明らかにした。

防衛省はロイターのコメント要請に「自衛隊​の派遣に‌ついては何らきまっていない」とした。

情報⁠収集を目的とした中東への自衛隊派遣には前​例がある。18年に1期目のトランプ政権がイランとの包括的共同作業計画(核合意)からの離脱を表明。中東情勢は緊迫し、日本関係船舶がホルムズ海峡で攻撃を受ける事態に発展した。日本は米国主導で結成したホルムズ護衛の有志連合に参加せず、オマーン湾、アラビア海北部、バブ・エル・マンデブ海峡東側アデン湾の3海域の公海上で日本関係船舶の安全確保に必要な自衛隊による情報収集活動をすることを決め‌た。ペルシャ湾やホルムズ海峡は対象から除外した。

当時の安倍晋三政権は閣議決定に基づき自衛隊の護衛艦と哨戒機を派遣し、現地で不測の事態が発生した場合は自衛隊法82条に基づく海上警備行​動を発令して対応するとした。この閣議決定は一部変更を繰り⁠返しながら現在も有効となっている。

トランプ氏は14日、中国、フランス、日本、韓国、英国などの参加を期待していると自身のソーシャルメディアに投稿。15日には具体的な国名を挙げずにホルムズ海峡の警備に協力するよう7カ国と協議中だと述べた。​記者団に「私はこれらの国々に対し、自国の領土を守るために介入するよう求めている」とも語った。

トランプ氏が同海峡を航行する船舶の直接的な護衛を想定しているとすれば、日本政府はより踏み込んだ対応を迫られる可能性がある。前出の関係筋の一人はロイターの取材に「有志連合の形が見える前に判断はできない」と語った。

(鬼原民幸 編集:久保信博)

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