会社の資産を「勝手に現金化」して持ち逃げ...M&A急増の陰で「買い手が売り手を騙す」事例が続発
ウルフパック戦略による企業乗っ取り
日本では最近、ウルフパック(オオカミの群れ)戦略という手口も報告されている。複数のアクティビストなどが、共同保有者であることを隠して大量保有報告書に報告しなくてよい株式の5%までを別々に買い進めて、一気に要求を通す行為を指す。この企業買収の手口は、第2次大戦時にドイツ軍が行った作戦になぞらえて、そう呼ばれるようになった。
こうした手口にもきちんと対応しなければ、企業乗っ取りの犠牲にもなりかねない。中国の華僑や帰化人の関連企業などによるM&Aにおいてもウルフパック戦略は使われることが少なくないため、先端技術や独自技術など知的財産があれば、企業インテリジェンスなどを使って相応の対策を実施する必要がある。さもないと会社まるごと吸い尽くされてしまいかねない。
実際に筆者に相談のあったケースを紹介しよう。中国事業の先行きに不安があった企業オーナーが、「いい方だ」と思って付き合っていた人物が、実は巧妙に近づいてきた中国系の投資家の手先だった、ということがあった。その人物から得た情報を元に、中国系の投資家はある日突然態度を一変させ、株主提案を行ってきた。防衛のために筆者に相談があった時点ではかなり深刻な状況に陥っていた。
買い手を調べるケースが増えているとはいえ、実際には売り手側はお金をもらえればそれでいい、と考えるケースも多いだろう。では逆に、売り手側はどうすればいいのか。





