「値上げ」頼りの成長続けた「高級ブランド」各社、トランプ関税で窮地...試される価格決定力
米コンサルティング会社ベインは、経済的圧力や「値上げ疲れ」からデザイナーブランドの服やバッグに消費者の手が伸びず、同セクターが昨年、5000万人の顧客を失ったと試算している。
スイスの資産運用会社GAMで高級ブランドの投資戦略を担当するフラビオ・セレダ氏は現在、価格バランスを見誤った企業が苦戦を強いられていると話す。
「勢いの大幅な失速は、それが不均一であれ、過剰な価格設定をしていた期間があったことによる当然の結果だ」
対米輸出商品に15%の関税が課せられた場合、米国内での販売価格におよそ2%上乗せするか、もしくは世界全体で約1%値上げする必要が生じるとUBSは指摘。さもなければ利払い・税引き前利益(EBIT)に3%程度の損失がみられることになると予測した。
最近、高級品業界全体で業績回復の兆しが見られておらず、こうした値上げは困難を極める可能性がある。
LVMHの第2・四半期の売上高は、ルイ・ヴィトンやディオールなど主力ブランドが足を引っ張り、予想を下回る結果となった。伊モンクレールは1%減、仏ケリング傘下の「グッチ」も不振が続くとみられている。
スイス資産運用大手ピクテ・アセット・マネジメントのプレミアムブランド部門トップ、キャロライン・レイル氏は、過去4年間で一部の高級品の品質や創造性と価格との間に「かい離」があると指摘する。