最新記事
ビジネス

「値上げ」頼りの成長続けた「高級ブランド」各社、トランプ関税で窮地...試される価格決定力

2025年8月2日(土)15時51分

米コンサルティング会社ベインは、経済的圧力や「値上げ疲れ」からデザイナーブランドの服やバッグに消費者の手が伸びず、同セクターが昨年、5000万人の顧客を失ったと試算している。

スイスの資産運用会社GAMで高級ブランドの投資戦略を担当するフラビオ・セレダ氏は現在、価格バランスを見誤った企業が苦戦を強いられていると話す。

「勢いの大幅な失速は、それが不均一であれ、過剰な価格設定をしていた期間があったことによる当然の結果だ」

対米輸出商品に15%の関税が課せられた場合、米国内での販売価格におよそ2%上乗せするか、もしくは世界全体で約1%値上げする必要が生じるとUBSは指摘。さもなければ利払い・税引き前利益(EBIT)に3%程度の損失がみられることになると予測した。

最近、高級品業界全体で業績回復の兆しが見られておらず、こうした値上げは困難を極める可能性がある。

LVMHの第2・四半期の売上高は、ルイ・ヴィトンやディオールなど主力ブランドが足を引っ張り、予想を下回る結果となった。伊モンクレールは1%減、仏ケリング傘下の「グッチ」も不振が続くとみられている。

スイス資産運用大手ピクテ・アセット・マネジメントのプレミアムブランド部門トップ、キャロライン・レイル氏は、過去4年間で一部の高級品の品質や創造性と価格との間に「かい離」があると指摘する。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

与党税制改正大綱が決定、「年収の壁」など多数派形成

ビジネス

日経平均は反発、日銀が利上げ決定し「出尽くし」も

ワールド

米国土安全保障省、多様性移民ビザ制度の停止を指示

ビジネス

豪ANZに罰金1.65億ドル、国債取引巡る不適切処
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末路が発覚...プーチンは保護したのにこの仕打ち
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 7
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中