トランプが次期FRB議長にケビン・ウォーシュを指名――注目すべき3つのポイント
元FRB理事、大学教員など経歴は文句なしのウォーシュだが…… TIERNEY L. CROSSーBLOOMBERG/GETTY IMAGES
<インフレ対応、金利政策、そしてFRBの独立性...今回の人事が米経済に投げかける論点を整理する>
さまざまな臆測が何カ月も飛び交った末に、トランプ米大統領は1月30日、FRB(米連邦準備理事会)の次期議長にケビン・ウォーシュ元FRB理事を指名した。
議会の承認が得られれば、ウォーシュは5月で任期が切れるパウエル現議長に代わり、中央銀行トップとして金融政策の舵取りを担うことになる。米経済は一部で改善が見られるが、依然として不透明な状況が続く。
今回の指名の注目点は以下の3つだ。
■おなじみの名前
ウォーシュは金融政策立案の豊富な経験を持つ。スタンフォード大学とハーバード大学ロースクールを卒業後、ジョージ・W・ブッシュ政権の経済政策担当大統領特別補佐官、国家経済会議事務局長を経て、最年少のFRB理事の1人となった。
FRB議長候補としてはおなじみの名前だ。1期目のトランプ大統領がパウエルを指名した2017年には、最終候補の1人だった。トランプはその後、ウォーシュを選ばなかったことは間違いだったと語っているが、この見解にはパウエルとの対立が影響している可能性がある。
経歴的には申し分ない。06~11年のFRB理事時代は、他の政策立案者や金融界と緊密に連携して08年の世界金融危機に対処。FRB退任後はスタンフォード大学に戻り、フーバー研究所の客員研究員、経営大学院の講師を務めた。議会予算局(CBO)の経済諮問委員会にも加わっている。
■変わった立場
最大の関心事は、ウォーシュ率いるFRBの金融政策が緊縮的か緩和的かだ。ウォーシュは長年タカ派と見なされてきた。つまりインフレ抑制のためには、たとえ経済成長が鈍化しても金融引き締めと金利引き上げを志向する立場だ。FRB理事時代は量的緩和などの拡張的な金融手法への懸念を示していた。
だが最近の公的発言では、金利引き下げを主張するトランプに一部歩調を合わせる姿勢を強めている。財務省との新たな協定にも言及した。FRBの財政当局からの独立が確立された1951年の「財務省・FRB合意」が念頭にあるとみられる。
■FRBの独立性
この指名をめぐる核心的問題は、FRBの「政治化」を加速することになるかどうかだ。政治的圧力からのFRBの独立は、長らく経済政策の基盤とされてきた。このため政策金利の決定やインフレ抑制、金融の安定に関する判断は、選挙や政治の影響を受けない。
時の政権は短期的な景気刺激策を好むが、それが長期的に経済的痛みを招く恐れがある場合、真に独立したFRBは抵抗する力がある。政治家は景気を短期で押し上げ、自分の手柄にできる緩和的金融政策を望みがちだが、FRBは金融政策を慎重に検討する傾向がある。
今回の指名は、金融政策への影響力拡大を図る行政の動きの一環とみることもできる。トランプがパウエルを公然と非難し、早期辞任を声高に要求していることを考えると、政権の意向に沿って金利を引き下げる人物を指名する意図があったことはほぼ確実だ。
ウォーシュは政治的立場を排除しようとするパウエルや他のエコノミストに比べ、金融政策の見解が日和見主義的だと、この指名を批判する声もある。議会に承認された後、新議長がタカ派として振る舞うか、政治的動機に基づき行動するかは、時間とともに明らかになるだろう。
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D. Brian Blank, Associate Professor of Finance, Mississippi State University
Brandy Hadley, Associate Professor of Finance and Distinguished Scholar of Applied Investments, Appalachian State University
This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.
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