「値上げ」頼りの成長続けた「高級ブランド」各社、トランプ関税で窮地...試される価格決定力
LVMHのベルナール・アルノー会長兼最高経営責任者(CEO)は米政権との緊張緩和を求め、EU指導者らに強い働きかけを行ってきた。24日には、米テキサス州で2番目となる工場の建設計画を発表している。
しかし、こうした動きは多くの欧州ブランド企業にとって、何年もかけて地元の職人技術を習得させる必要があるなど、極めて複雑でコストもかかると複数の業界専門家は警告する。
一部の高級ブランドは価格決定力で関税コストを相殺することが可能だとしているものの、アナリストや業界関係者からは度重なる値上げにより、これ以上引き上げる余地には限りがあるとの声も上がる。
RBCの推計によると、大手高級品ブランドは2019ー23年に平均33%の値上げを実施。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後の需要回復で売り上げを伸ばした。
シャネルを代表するキルティングフラップバッグの価格は15-24年で3倍以上に上昇したほか、「レディディオール」やルイ・ヴィトンのトラベルバッグ「キーポル」も2倍以上値上がりしたと、スイス金融大手UBSのアナリストは分析した。
ブランドと価格設定に「かい離」
2019年以降の4年間、高級品業界における売り上げ増の半分は値上げによるものだ。UBSのアナリストは、うち3分の1は16-23年に実施された価格改定に起因すると指摘する。





