「値上げ」頼りの成長続けた「高級ブランド」各社、トランプ関税で窮地...試される価格決定力
米ノースカロライナ州出身の臨床セラピスト、プレシャス・バックナーさん(37)は先週、マンハッタンのサックス・フィフス・アベニューでシャネルのクラシカルなフラップバッグを見ていたが、価格が上がればもう買う価値はないと話す。
「サイズやフィット感、好みかどうかを見るために店舗に足を運んでいる。そうしておけば、リセールで買えることもある」
バックナーさんは、ブランドの公式店舗で1万2000ドル(約178万円)支払うよりは、ハイブランドの中古品を扱う米リセールサイト「ザ・リアルリアル」や「ファッションファイル」で8000ドルで購入する方を選ぶだろうと明かした。
ベインは世界全体の高級品売上高が今年、コロナ禍を除く過去15年で最大の落ち込みとなる2-5%減少する可能性があると試算する。昨年は前年比1%減だった。
業界全体の低迷に対抗すべく、各社は採用強化に乗り出している。シャネルやグッチ、LVMH傘下のディオール、セリーヌ、ジバンシー、ロエベ、ヴェルサーチェといったブランドが新デザイナーの起用を発表した。
だが、スタイルを刷新して価格と商品価値の溝を埋めるには、時間を要するだろう。
「指を鳴らして、数週間のうちにできるようなことではない」とピクテのレイル氏は語った。


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