最新記事
日米貿易

自動車輸出に「上限案」浮上...トランプ関税が「日本の基幹産業」に迫る圧力とは?

2025年7月9日(水)14時18分
横浜港

7月9日、暗礁に乗り上げている日米関税協議では、日本経済全体への影響という観点からは自動車の取り扱いが焦点だ。写真は横浜港で2017年5月撮影(2025年 ロイター/Toru Hanai)

暗礁に乗り上げている日米関税協議では、日本経済全体への影響という観点からは自動車の取り扱いが焦点だ。日本の基幹産業だけに仮に一部で報じられているように輸出台数に数量規制がかかるようだと、国内工場での生産減少により景気後退のリスクが高まることが想定される。

数量規制を巡る報道に関して、日本側は「事実ではない」(経産省幹部)と否定する声が多く、赤沢亮正経済再生相は8日の会見で「報道は承知しているが、逐一コメントしない」と述べるにとどめた。


 

2日付の米ウォールストリートジャーナルは、5月下旬に赤沢大臣が訪米した際に、ラトニック商務長官とグリア通商代表部(USTR)代表が両国が早期に合意に至らなければ、トランプ政権は追加の懲罰的措置へと移行する可能性があると警告した、と報道。そのうえで両氏は、日本が米国に輸出できる自動車の台数に上限を設けるよう日本側に要求する可能性があると述べ、日本側はこの要求を突っぱねて引き続き自動車関税の撤廃を求めた、と伝えた。

米国のグラス駐日大使は、5月10日付の読売新聞インタビューで米国が英国と合意した自動車の低関税枠で日米も合意する余地があると指摘し、米政権内に事実上の自動車数量規制案があることを示唆している。

実際、複数の政府・与党関係者によると、第一次トランプ政権では当時のハガティ駐日大使が当時の菅義偉官房長官など政府要人に対米自動車輸出の数量規制を打診した経緯があるようだ。菅氏側近の阿達雅志参議院議員は2018年、ロイター主催講演会で、米国から日本の対米自動車輸出台数を100万台削減すべきとの要求もあったと明らかにした。

BAT
「より良い明日」の実現に向けて、スモークレスな世界の構築を共に
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

おせちにも物価高の波、節約と奮発に二極化 商戦早く

ワールド

仏政権崩壊ならIMF介入のリスク、財務相が警告

ワールド

トランプ氏、保証金なしの保釈制度を制限 首都ワシン

ビジネス

メルセデス年金信託の日産株売却、10倍超の応募 割
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 2
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」の正体...医師が回答した「人獣共通感染症」とは
  • 3
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密着させ...」 女性客が投稿した写真に批判殺到
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 6
    顔面が「異様な突起」に覆われたリス...「触手の生え…
  • 7
    【写真特集】「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく…
  • 8
    アメリカの農地に「中国のソーラーパネルは要らない…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 6
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 7
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 8
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 9
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 10
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中