人間に近い汎用人工知能(AGI)で中国は米国を既に抜いた──ただしそれは異形のAI

China's Next-Level AI Could Overtake US: New Report

2025年5月20日(火)20時57分
ディディ・キルステン・タトロウ(本誌米国版・国際問題担当)

今年5月には、中国企業のコンソーシアムが、宇宙空間を使ったAI向けスーパーコンピューティング基盤「スターコンピュート」のための初期衛星12機を打ち上げたと、中国航天科技集団公司(CASC)が発表している。

武漢の野心は明確だ。今年3月12日に市政府が発表した計画では、2025年までに「AI+ロボット」「AI+自動車」「AI+パソコン・サーバー」「AI+スマートフォン」「AI+眼鏡」の5分野を重点的に育成するとしている。


 

報告書によれば、武漢AI研究院の共同代表であるAI科学者・朱松純と呉志強は、AGIの目指す姿を「共存型スマート社会の基盤となる"価値駆動型"の運用モデル」と位置づけており、その最終目的は「社会統治の道具」だと述べている。

ウェーバーはこう言う。「『社会統治』とは言い換えれば『社会統制』だ。AGIによって社会統制を実現することは、中国指導部の重要な目標のひとつだ」と指摘する。

ウェーバーはまた、電気自動車や顔認証など、中国が国家戦略として掲げた技術分野で次々と覇権を獲得してきた実績にも触れた。

興味深いことに、呉と朱は、長年にわたりアメリカの防衛関連機関から多額の研究助成を受けてきた人物でもある。本誌は過去に、朱に3,000万ドル超の連邦助成金が交付されていたことを報じた。

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