コラム

「医師の宇宙飛行士」古川聡さん、27年勤務のJAXAを卒業...次のステージも「らしい」場所 7つのキーワードで知る、その功績と人柄

2026年04月03日(金)10時30分
古川聡

会見でJAXA退職を発表した古川聡さん(3月30日) 筆者撮影

<「医師の宇宙飛行士」古川聡さんが27年間のJAXA勤務に幕を下ろし、4月から杏林大学医学部特任教授として新たな一歩を踏み出した。その決断の背景、これまでの活躍、同僚から愛され続けた人柄など、7つの切り口から古川さんについて紹介する>

4月になり新年度が始まりました。学校や職場で周囲の顔ぶれが変わり、「新たな生活を頑張ろう」と心に誓っている人も多いのではないでしょうか。

JAXA(宇宙航空研究開発機構)宇宙飛行士の古川聡さんもそのような1人です。古川さんは3月30日に記者会見を行い、定年まで1年残してJAXAを「卒業」し、4月から大学教授として新たな道にチャレンジすることを発表しました。

医師で宇宙飛行士の古川さんは、これまでにどのような活動をしてきたのでしょうか。なぜこのタイミングで転職を決めたのでしょうか。

古川さんのこれまでの活動や人となりを、7つのキーワードで紹介します。



宇宙飛行士
古川聡(ふるかわ・さとし)
1964年神奈川県生まれ。東京大学医学部医学科卒業。東京大学で博士(医学)も取得している。99年に星出彰彦さん、角野(山崎)直子さんとともに宇宙飛行士候補者に選ばれ、2001年に正式に宇宙飛行士として認定される。2011年に、第28次/第29次長期滞在クルーのフライトエンジニアとしてISS(国際宇宙ステーション)に165日間滞在。23年8月にも第69次/第70次長期滞在クルーとしてISSに約6カ月半滞在し、「きぼう」日本実験棟で細胞が重力を感じる仕組みの解明や創薬につながる高品質タンパク質の結晶化実験、次世代水再生システム等の技術実証に携わった。宇宙滞在の合計時間は366日8時間34分。地上でもJAXAが開発する月面探査車「有人与圧ローバー」の開発等に参加した。

1. 似合いすぎる大学教授への転身

古川さんは会見冒頭で「27年間勤務したJAXAから『卒業』することにしました。4月からは杏林大医学部特任教授として、新たな仲間とともに人材育成を中心に次のステージで挑戦していきたいと考えています」と語りました。

このタイミングでの退職となった理由は、①ISSに滞在した宇宙飛行士に対する帰還2年後の医学調査のデータ収集への協力が、ついこの間終わった(※古川さんの2度目のISS滞在の帰還は24年3月)、②まだ宇宙飛行の経験がない諏訪理さん、米田あゆさんの両宇宙飛行士に対する自分の経験やノウハウの継承が一段落した、と説明しました。

プロフィール

茜 灯里

作家・科学ジャーナリスト。青山学院大学客員准教授。博士(理学)・獣医師。東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専修卒業、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。朝日新聞記者、大学教員などを経て第24回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。小説に『馬疫』(2021 年、光文社)、ノンフィクションに『地球にじいろ図鑑』(2023年、化学同人)、ニューズウィーク日本版ウェブの本連載をまとめた『ビジネス教養としての最新科学トピックス』(2023年、集英社インターナショナル)がある。分担執筆に『ニュートリノ』(2003 年、東京大学出版会)、『科学ジャーナリストの手法』(2007 年、化学同人)、『AIとSF2』(2024年、早川書房)など。

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