最新記事
ビジネス

ベトナム依存、トランプ関税でNIKEなどスポーツ用品会社に打撃...「人は衣料品のコスト増に敏感」

2025年4月3日(木)08時07分

しかし、今回の関税は特にナイキにとって死活的に重要なタイミングに重なった。同社は近年、オンやホカなど、より斬新で革新的とされる競合他社に市場シェアを奪われており、先月の四半期決算発表では、最高財務責任者のマット・フレンド氏が来四半期も引き続いての収益減少を予想しているからだ。

ナイキ株を保有するコロンビア・スレッドニードル・インベストメンツのシニア株式アナリスト、マリ・ショア氏は、収益の見通しは現行の関税を織り込んだものだと指摘する。「だが、状況が悪化したらどうなるかは分からない」


 

衝撃に備える業界

より小規模で新興のスポーツウェアブランドの中には、ベトナムへの依存度がさらに高いブランドもある。急成長中のランニング用アパレルブランドの「オン」は、2024年にシューズの90%、アパレルとアクセサリーの60%をベトナムから調達した。

オンの靴は元々高価で、1足130ドルから330ドルで販売されている。同ブランドの最高執行責任者サミュエル・ウェンガー氏は、関税は価格を決める際に考慮する要素の一つだとした上で、「当社の高級ブランドには、慎重に価格設定を調整する能力がある」とロイターに語った。

市場調査会社サーカナの靴業界のアナリスト、ベス・ゴールドスタイン氏によると、米国のスニーカーの平均価格は2019年以来25%上昇しており、その一因は生産コストの上昇だ。サーカナの消費者追跡サービスによると、2021年以来、米国のランニングシューズの売上は16%増加し、74億ドルに達した。しかし、最近の米国の消費者信頼感は4年ぶりの低水準に達しており、さらなる価格上昇は受け入れられ難い可能性があるという。

ベトナムから生産拠点を移転するのも簡単なことではない。カンボジアやインドネシアなど他の東南アジア諸国も関税に直面する可能性があるほか、これらの国でもすでに生産コストが上昇し始めている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

訂正中国が北京で軍事パレード、ロ朝首脳が出席 過去

ワールド

米制裁下のロシア北極圏LNG事業、生産能力に問題

ワールド

豪GDP、第2四半期は前年比+1.8%に加速 約2

ビジネス

午前の日経平均は反落、連休明けの米株安引き継ぐ 円
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 5
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 6
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 7
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 10
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中