最新記事
ドイツ経済

ドイツ、国防支出急拡大で冷戦後最大の投資ブーム到来か

2025年3月4日(火)15時50分
メルツCDU党首

ドイツの次期政権が国防支出を大幅に拡大し、同国で冷戦後最大の国防投資ブームが訪れるとの観測が高まっている。写真はメルツCDU党首。ドイツのハンブルクで2月撮影(2025 ロイター/Fabian Bimmer)

ドイツの次期政権が国防支出を大幅に拡大し、同国で冷戦後最大の国防投資ブームが訪れるとの観測が高まっている。

関係筋がロイターに明らかにしたところによると、次期政権樹立に向けて連立交渉中の政党は、防衛とインフラに関してそれぞれ数千億ユーロ規模の特別基金を早急に設置することを検討している。


 

両党に助言するエコノミストらは、防衛基金を4000億ユーロ(4150億ドル)、インフラ基金は4000億―5000億ユーロにするよう提言したという。

これらを合わせると、ドイツの国内総生産(GDP)の20%に相当する。この計画が承認されれば、毎年GDPの2%に相当する金額が来年から10年間、追加で支出されることになる。

ドイツ銀行は「これは30年前の(東西ドイツ)統一以来、ドイツが旧東ドイツに投資してきた額とほぼ同じになる」と指摘し、「歴史的規模の財政政策の転換となる」との見解を示した。

ただ、防衛基金の経済効果は短期的には限定的との見方も示した。

長期にわたる緊縮財政の結果、橋や鉄道などドイツの公共インフラは老朽化が深刻なため、インフラ基金のほうがより大きな効果をもたらす可能性がある。

次期首相が有力視されるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)のメルツ党首は特別基金の設置を確認していない。だが、ロイターの報道を受けて、ティッセンクルップ、ヘンソルト、レンク、ラインメタル、BAEシステムズ、レオナルドなどの防衛関連企業の株価は3日午前の取引で2桁の上昇率を記録した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250318issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年3月18日号(3月11日発売)は「日本人が知らない 世界の考古学ニュース33」特集。3Dマッピング、レーダー探査……新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


展覧会
奈良国立博物館 特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」   鑑賞チケット5組10名様プレゼント
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロ外相、イエメン攻撃の即時停止と対話要請 米長官と

ワールド

習主席、中国EU首脳会議の招請辞退と英紙報道 外交

ワールド

ケロッグ米特使の職務限定、ロシアが「ウクライナ寄り

ワールド

米がフーシ派に大規模攻撃 商船攻撃に強硬措置 31
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
2025年3月18日号(3/11発売)

3Dマッピング、レーダー探査......新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 2
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴された陸上選手「私の苦痛にも配慮すべき」
  • 3
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ?
  • 4
    エジプト最古のピラミッド建設に「エレベーター」が…
  • 5
    【クイズ】世界で1番「天然ガス」の産出量が多い国は…
  • 6
    自然の中を90分歩くだけで「うつ」が減少...おススメ…
  • 7
    中国中部で5000年前の「初期の君主」の墓を発見...先…
  • 8
    鈍器で殺され、バラバラに解体され、一部を食べられ…
  • 9
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 10
    ピアニスト角野隼斗の音を作る、調律師の知られざる…
  • 1
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 2
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 3
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 4
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 5
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ…
  • 8
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 9
    ラオスで熱気球が「着陸に失敗」して木に衝突...絶望…
  • 10
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
  • 10
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中