最新記事
キャリア

「安定した会社で定年まで...」では逃げ切れない時代に...「キャリア」と本気で向き合うのに必要なこと

2024年2月29日(木)17時21分
flier編集部

240223fl_cts02.jpg

フライヤー代表取締役CEOの大賀康史(右)と徳谷智史さん

こうした社会を実現するために、組織のコンサルティングも人材育成もやるし、スタートアップへの出資や支援もします。一方で、個人のキャリア選択、さらにいうと生き方のスタンダードが変化しないと社会は変わらないので、個人も、企業経営者やチームを率いる人も支えていきたい。

事業には社会的なインパクトの大きさが問われるので、仕組み化やビジネスモデル化は当然必要です。でも、「目の前の一人が変わらないのに、いきなり仕組みだけで本当に社会が変わるのか?」とも思っています。その人が自分自身と向き合って変化し、その影響が周囲に広がっていくことを大事にしたいですね。

大賀 一人ひとりに向き合う視点と、社会全体を見る視点の両方を大事にされているのは、そうした背景があったのですね。徳谷さんがこうした使命感を持つようになった原体験はありますか。

徳谷 原体験は2つあって、1つは、幼少期に身内を失った経験です。人生は有限なのだと突きつけられました。

2つめは、海外放浪の経験。人は周囲からラベルを貼られるけれど、環境が変わると違うラベルを貼られると知りました。途上国で、恵まれない環境から構造的に抜け出せない人たちを直接目の当たりにして、「我々なんてちょっとしたきっかけで、いくらでも変われる」と改めて気づいたのです。

実際に、たった一人でも本気で向き合ってくれる人と出会ったり、チャレンジングな環境に身を置く機会が得られたりすると、人は変われるし、自分では気づいていない可能性を発揮できる。だから、私たちが、人を「変える」のではなく、本人の心からの在りたい姿を見出して「変わるきっかけ」をつくる、という意識でいます。

大賀 その感覚にとても共感します。「人を変える」というのは若干おこがましいように思うし、その人が本来持っている可能性を活かすきっかけをつくることなら、周りの人も何かしてあげられる気がしますね。スタートアップ経営者の方々も、徳谷さんに心を開いて、自然と変容に向かっているように思います。

徳谷 経営者の話を枠にはめずに理解しようとすることで、相手が結果として胸の内を吐露している面はあるかもしれません。スタートアップの創業者の思いやビジョンは一人一人違うものなので、こちらから押しつけることはすべきでないと思うんです。経営者や会社に課題があるとして、そこに至った背景は多様だし、まずはそれをじっくり聴いて、理解しようとする。そのうえで、組織なり戦略なりのボトルネックを一緒に見つけられるよう、対話を重ねてすり合わせていくようにしています。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ、北東部国境の町の6割を死守 激しい市街

ビジネス

インフレ率低下、持続可能かの判断は時期尚早=ジェフ

ビジネス

インフレ指標に失望、当面引き締め政策が必要=バーF

ビジネス

物価目標達成に向けた確信「時間かかる」=米アトラン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『悪は存在しない』のあの20分間

  • 2

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 5

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 6

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 7

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    9年前と今で何も変わらない...ゼンデイヤの「卒アル…

  • 10

    「親ロシア派」フィツォ首相の銃撃犯は「親ロシア派…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 4

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 9

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中