最新記事
グリーン投資

地球に優しい資産運用「グリーン投資」の手引き(前編)

INVESTING IN A GREENER WORLD

2024年1月18日(木)16時00分
ペネロペ・ワン(金融ライター)

投資戦略によってリターンはまちまち

240123p46_GTS_02return.jpg

ILLUSTRATION BY BRITT SPENCER

目標がはっきりしたら、次はファンド選びだ。「幸い、ファンドやETFの数は昔よりはるかに増えていて、コストも下がっている」と、チェンは言う。「問題は、ファンドを選ぶのが途方もない大仕事に思える場合があることだ」

投資評価会社モーニングスターによれば、23年半ばの時点で、サステナブルファンドの数はアメリカだけで650以上ある。この数は、23年初めに比べると11%増だ。

その中には、旧来型の投資戦略に従ってさまざまな業種の有力企業の株式(と債券)に投資しつつ、ESGを基準に企業をふるいにかけ、環境汚染を生み出していたり、温室効果ガス排出量が多かったりする企業を除外するといった具合だ。

一方、温室効果ガスの排出削減など、気候関連の目標達成を支持している企業や、サステナビリティー関連の革新的なテクノロジーの開発に取り組んでいる企業に絞って投資するファンドもある。

サステナブル投資では、どれくらいのリターンを期待できるのか。旧来型のファンドと同様に多くの優良企業に投資しているファンドは、運用成績も旧来型のファンドに近いと、モーニングスター・リサーチ・サービスのアリッサ・スタンキェウィッツは指摘する。

その点、厳しい基準で企業をふるいにかけるファンドは異なる。「除外する業種が多く、そうした業種の規模が大きいほど、運用成績は旧来型のファンドと大きく乖離する」と、スタンキェウィッツは言う。

22年、大半のESGファンドの成績は旧来型のファンドを下回った。その一因は、大手エネルギー企業など、大きく値上がりした銘柄への投資が少なかったことにある。

しかし、過去3年間もしくは5年間のデータを見ると、ESGファンドは概して旧来型のファンドより成績がよい。しかも、この種のファンドの成績は再び上向き始めているようだ。23年初めから10月20日までの間に、構成銘柄の選定基準にESGの要素を組み込んだ株価指数である「S&P500ESG指数」は、標準的な指数のS&P500より大きく上昇している。

■後編はこちら

20240618issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年6月18日号(6月11日発売)は「姿なき侵略者 中国」特集。ニューヨークの中心やカリブ海のリゾート地で影響力工作を拡大する中国の「ステルス侵略」

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


【20%オフ】GOHHME 電気毛布 掛け敷き兼用【アマゾン タイムセール】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:メダリストも導入、広がる糖尿病用血糖モニ

ビジネス

アングル:中国で安売り店が躍進、近づく「日本型デフ

ビジネス

NY外為市場=ユーロ/ドル、週間で2カ月ぶり大幅安

ワールド

仏大統領「深刻な局面」と警告、総選挙で極右勝利なら
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:姿なき侵略者 中国
特集:姿なき侵略者 中国
2024年6月18日号(6/11発売)

アメリカの「裏庭」カリブ海のリゾート地やニューヨークで影響力工作を拡大する中国の深謀遠慮

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「珍しい」とされる理由

  • 2

    森に潜んだロシア部隊を発見、HIMARS精密攻撃で大爆発...死者60人以上の攻撃「映像」ウクライナ公開

  • 3

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 4

    メーガン妃「ご愛用ブランド」がイギリス王室で愛さ…

  • 5

    米モデル、娘との水着ツーショット写真が「性的すぎ…

  • 6

    米フロリダ州で「サメの襲撃が相次ぎ」15歳少女ら3名…

  • 7

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    「ノーベル文学賞らしい要素」ゼロ...「短編小説の女…

  • 10

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 1

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 2

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車の猛攻で、ロシア兵が装甲車から「転げ落ちる」瞬間

  • 3

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思っていた...」55歳退官で年収750万円が200万円に激減の現実

  • 4

    認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か...…

  • 5

    米フロリダ州で「サメの襲撃が相次ぎ」15歳少女ら3名…

  • 6

    毎日1分間「体幹をしぼるだけ」で、脂肪を燃やして「…

  • 7

    堅い「甲羅」がご自慢のロシア亀戦車...兵士の「うっ…

  • 8

    カカオに新たな可能性、血糖値の上昇を抑える「チョ…

  • 9

    「クマvsワニ」を川で激撮...衝撃の対決シーンも一瞬…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が妊娠発表後、初めて公の場…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 3

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 4

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…

  • 5

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 6

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 7

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 9

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…

  • 10

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中