「何でも他人の責任」な人より、責任感の強い「優秀な人」の方が大きな失敗をする事実
ハーバード大学経営大学院(ビジネススクール)のアリソン・ウッド・ブルックス、ライアン・W・ビュエル、ブライアン・ホール、ローラ・ファンらは、「悪い妬みを和らげる──なぜ成功者は失敗をさらけ出すべきなのか」という研究報告書を発表した。この研究によると、失敗について話し合うことで、その人の人間味が増すという。なるほど!
僕が「しまった、失敗しちゃった」と言ったら、ごく普通の、ウソのない共感できる人物に見えるだろう。そうしたら、何が起こると思う? 互いの失敗に共感し合えたら、人間関係がよくなるのだ。ほかに何が起こるかわかるだろうか? ここが面白いところだ。実は、他人が抱く「良い妬み」が増すのだ。
良い妬みって? 他人をうらやましいと思う、悪意のない気持ちのことだ。それは「悪い妬み」とは対極にある。良い妬みは人をやる気にさせ、みんながあなたをお手本として見るようになる。良い妬みはよい形で人から人へと広がって、みんなに成績を上げる意欲を与える。
だから、次に失敗して隠したいと思ったら、「そんなの誰の役にも立たない」と思い出してほしい。失敗を共有し、素直に認め、ほかの人たちを巻き込もう。そうすれば、周りもあなたに共感し、ますます成長するから。
悪いのは自分じゃなくて環境かも
自虐的な映像を思い描くのが問題なのは、自分がそれを信じてしまうことだ。皮肉なことに、僕らは頭がキレるからこそ、自分で自分をたたきのめしてしまいかねない。
これがどんなに危険なことかを伝えるために、2013年のある調査を紹介したいと思う。オランダのユトレヒト大学のアヌク・カイザー率いる研究者チームによる「太りすぎてドアを通れない」という調査だ。
研究者たちは、拒食症の女性たちと拒食症ではない女性たちがドアを通り抜けるところを観察した。身体に注意が向かないよう、簡単な作業をしてもらいながら、ドアを通り抜けてもらった。何が起こったと思う?
拒食症の患者は、そうではないグループよりも、肩の向きを変えて身体を斜めに縮めて通り抜けることがずっと多かった。通り抜ける十分なスペースがあるのに、「太りすぎだから通れない」と思っているのだ。
「あなたは拒食症だ」と言いたいのかって? 「摂食障害がある」とか「心を病んでいる」 とか言っているのかって? 違う。これはたとえ話だ。自分自身に抱いているイメージが、 バカバカしい形で行動に映し出されている可能性がある──そう言いたいのだ。とくに、僕のように自分に厳しい人なら。
あなたは今、どんなドアを必死で通り抜けようとしている? そこは......こっそり教えよう。実はあなたは、そのドアを余裕で通り抜けられる人材なのだ。おそらく、あなたが問題なんじゃない。
では、環境はどうだろう? 「抱えている課題」と「自分自身」をごっちゃにしていないだろうか? 環境のせいで、「何もかも自分が悪い」と思い込まされているのではないだろうか?