最新記事
中国経済

ゼロコロナ緩和した中国、感染報告を縮小 実態不明で経済の先行き見えず

2022年12月16日(金)08時10分
コロナ患者を発熱病棟に搬送する医療スタッフ

中国政府による突然のゼロコロナ政策緩和に虚を突かれた投資家が、今度は中国のパンデミック後の混乱を手探りで進まざるを得ない事態に陥っている。写真は北京の病院で、患者を発熱病棟に搬送する医療スタッフ。13日に撮影したロイターTVの動画より(2022年 ロイター)

中国政府による突然のゼロコロナ政策緩和に虚を突かれた投資家が、今度は中国のパンデミック後の混乱を手探りで進まざるを得ない事態に陥っている。感染の拡大や数カ月先の経済に対する潜在的脅威を追跡する適切なデータがないためだ。

中国は当局のデータが投資家を混乱させたり、信頼性に疑問が生じたりすることが少なくない。当局は大規模な検査を打ち切り、感染状況に関する報告を縮小しており、情報を入手することさえ難しくなっている。

投資家はインターネットの検索データなど他の材料を探し回って追跡モデルを調整するなど、感染の急増や、経済再開に伴う医療危機の可能性を明確に把握する上で困難に直面している。

中国が来年後半に、より強力な成長を遂げるという投資家の確信にまだ揺らぎはない。しかし、以前から投資家にとって読み取りづらい経済が、短期的な感染者急増で一層扱いにくくなっている。

JPモルガン・アセット・マネジメントの新興市場・アジア太平洋株式投資スペシャリスト、ジョアンナ・シェプ氏は「今は混乱している。とりあえず1カ月は様子を見よう。全てがすごい速さだ」と話す。JPモルガン・アセットは中国の投資判断を「中立」に維持。先週のゼロコロナ緩和後も、短期的には様子見のスタンスを取っている。

ゼロコロナの緩和が浮上し、その後、実際に導入されると中国の株価と人民元はいったん急騰した。だが、市場は今週に入って失速。香港ハンセン指数は11月に月間で1998年以来の大幅な上昇を記録し、12月第1週も上げ基調を維持したが、その後は騰勢が衰えた。

上海総合指数も今週は週初から1%近く下落。オフショア人民元 は11月に約4%上げて月間で過去最高の上昇率となったが、その後は足踏み状態だ。

投資家は経済にとっての主要な圧力が、医療制度だとみている。医療制度が崩壊すればゼロコロナ政策に回帰する恐れがあるため、感染状況を追跡する新しい方法を模索し、公開データがますます断片的となる中で欠落したピースを埋めようとしている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏インフレは当面2%程度、金利は景気次第=ポ

ビジネス

ECB、動向次第で利下げや利上げに踏み切る=オース

ビジネス

ユーロ圏の成長・インフレリスク、依然大きいが均衡=

ビジネス

アングル:日銀、追加利上げへ慎重に時機探る 為替次
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    【独占画像】撃墜リスクを引き受ける次世代ドローン…
  • 8
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 9
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 10
    中国、ネット上の「敗北主義」を排除へ ――全国キャン…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中