最新記事
中国経済

ゼロコロナ緩和した中国、感染報告を縮小 実態不明で経済の先行き見えず

2022年12月16日(金)08時10分

公式発表によると、中国の新型コロナ新規感染者数はこの1週間で急激に減少した。13日発表の有症状感染者数は2291人で、ピークだった5日の5046人から半分以下に減った。

だが、実際には一部地域での感染拡大のうわさが流れ、発熱外来前に長蛇の列ができてインフルエンザ治療薬の争奪戦が起きるなど、感染の急速な拡大が見て取れる。

キーワード検索

新型コロナに関する信頼できる公式データがないため、ノムラの首席中国エコノミストのティン・ルー氏は、感染状況を追跡するために中国インターネット検索最大手の百度(バイドゥ)など新たな情報源を利用するようになった。

ルー氏の執筆した13日の顧客向けリポートによると、百度の検索サイトでは新型コロナ関連のキーワードでの検索回数が急増しており、おそらく今の感染拡大の震源地となっている首都・北京など主要都市で、局所的に感染が急増しているという。ルー氏は来年1月下旬の春節(旧正月)ごろに、かつてない規模の感染拡大が起きると予測している。

インベスコのアジア太平洋地域担当グローバル・マーケット・ストラテジスト、デービッド・チャオ氏は、大規模検査が終了したため、医療制度に目を向けるようになった。医療制度崩壊の兆候が表れれば、隔離など厳しい管理体制に戻る可能性があるからだ。

投資家にとってもう1つの課題は、感染増加による労働者不足の可能性と、コロナとの共生に対する国民の反応を見極めることだ。

調査会社ガベカル・ドラゴノミクスの調査責任者、アーサー・クローバー氏によると、中国のコロナ政策転換は非常に速いため、同社の都市におけるコロナ制限指数には、まだ反映されていない。「今後1、2カ月は実施に伴う混乱が続く」とクローバー氏は予想した。

投資家に慎重な姿勢を促すのはBNYメロン・インベストメント・マネジメントのアジアマクロ・投資戦略部門を率いるアニンダ・ミトラ氏。リポートで「中国の幅広い開放への移行は現在進行中で、楽観視は当然だが、一方的な賭けではない」とくぎを刺した。

モルガン・スタンレーは長期的な観点から、中国は経済再開で2023年に5%成長を達成できると見込んでいる。

しかし、モルガン・スタンレーの首席中国エコノミスト、ロビン・シン氏は、それでも「短期的な痛みは避けられない」と感じている。「来年の春が始まるまで成長は低迷を続けそうだ」という。

(Summer Zhen記者、Samuel Shen記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米政府の代表団乗せた飛行機、パキスタンに到着 イラ

ビジネス

経産省、ラピダスへの6315億円の追加支援決定 総

ワールド

宇宙船オリオン、4人乗せ地球に無事帰還 月の裏側を

ワールド

アングル:イラン戦争でインフレ再燃、トランプ政権に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国防軍は崩壊寸前」
  • 4
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 5
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 6
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 7
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 8
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 9
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 10
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 7
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 8
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 9
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 10
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中