最新記事

ビジネス

行き詰っている人ほど効果的...「越境」を武器に新たな勝ちパターンを作る方法

2022年8月25日(木)12時02分
flier編集部

現地の人たちは、男性も女性も専門性の高い仕事をこなし、好きな服装で働き、毎日定時に退社。金曜日には定時前に退社したり、オフィスでバーベキューを楽しんだりすることさえありました。一方、私は出張中もスーツにネクタイで、夜遅くまで働くのが当たり前。

その比較を通して「私は自分で人生のハンドルを握れていない」「日本的な働き方をしているのは損だ」と感じたのです。帰国時、飛行機が成田空港に近づくにつれ、「また『つき合い残業』『サービス残業』『上や周りへの忖度』だらけの、元の働き方に戻るのか......」とゆううつになってしまったほどでした。

── 文化が違うとはいえ、大きな衝撃を受けそうな経験ですね。2つ目の「事務職と技術職の越境」はどのようなご経験でしたか。

新卒で事務職に就いたのですが、事務作業が壊滅的に苦手で「こんなこともできないの?」とダメ出しされてばかりでした。ところが企画職に異動した途端、力を発揮できるようになり、自己肯定感が上がっていきいきと働けるようになったのです。

その後は転職し、NTTデータでは最初は事務職であったものの、後に技術職に転向しました。今から10年以上前のことですが、私が異動したその部署では既にフリーアドレス、チャットでのコミュニケーション、テレワークなどを取り入れていました。IT技術者が働きやすい職場環境が整っていて、仕事にもコミュニケーションにも集中でき、私はそれまでの「事務所然」「事務職然」とした働き方に違和感を持ち始めました。

その後の、最後の転職で再び事務職に戻ったのですが、「もう、事務職然とした働き方は無理」と思ってしまったくらいです。そして今に至ります。

事務職と技術職を行き来したことで、「今までの働き方で本当にいいんだろうか?」「本当はもっと大きな成果が出せるはずなのに、皆で負けパターンに陥ってしまっていないか?」と考えるように。事務職と技術職の間に垣根をつくるのではなく、時にはお互いのカルチャーや考え方、スキルを「相互乗り入れ」させる=越境させることの大切さを学びました。

── 部署異動はネガティブに論じられることもありますが、「相互乗り入れ」のメリットは大きいですね。最後に「大企業とベンチャー企業の越境」についてもお聞かせください。

大企業でキャリアを積んだ後、フリーランスに転向するとともに、ベンチャー企業の顧問に着任しました。そこでもやはり、カルチャーショックがありましたね。「大企業のノウハウは成熟していて、ベンチャー企業に展開してもうまくいくはず」と大きな勘違いをしていました。

今思えばそんなことあるはずがないのですが、どこかで大企業のやり方は正しいと信じていたようですね。ところが、いざやってみると空回りするばかり。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:欧州で増加する学校の銃乱射事件、「米国特

ビジネス

豪サントス、アブダビ国営石油主導連合が買収提案 1

ワールド

韓国、第2次補正予算案を19日に閣議上程へ 景気支

ワールド

米の日鉄投資計画承認、日米の経済関係強化につながる
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 7
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中