米国債をこっそり売却している中国──「売りすぎ」ができない事情とは?
「ロシアは現在、SWIFTの代わりに中国の決済システムを国際間取引に利用している。グローバル通貨の地位は、多くの国がその通貨を受け入れ、国際取引に使おうとするかどうかに懸かっている。一部の国をSWIFTから排除することは両刃の剣であり、グローバル通貨としての米ドルの地位を傷つけ、ライバルを勢いづけることになる」
それでも、分散化には限界がある。中国が「ドル離れ」をやりすぎれば、国益を損ないかねないからだ。ただでさえ中国は恒常的に巨額の対米貿易黒字を積み上げ、自国通貨の対ドル上昇圧力を高めている。
米国債を売却すれば、その圧力に拍車が掛かり、アメリカ市場における中国製品の競争力は韓国や日本に対して低下し、対米輸出に打撃を与えることになる。
つまり、中国の米国債売りは長くは続かないかもしれない。ウォール街は過度に心配する必要はなさそうだ。

アマゾンに飛びます
2025年8月5日号(7月29日発売)は「トランプ関税15%の衝撃」特集。例外的に低い税率は同盟国・日本への配慮か、ディールの罠か
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら