最新記事

中国経済

習近平のゼロコロナ政策が新卒大学生を空前の就職難に突き落とす

2022年6月27日(月)13時44分
式典に参加した中国重慶の大学生たち

数十年来で最悪の状況となった労働市場に、ポルトガルの全人口を上回る規模の中国の大学新卒者が、一斉に参入しようとしている。写真は22日、重慶の大学で行われた式典で撮影。提供写真(2022年 ロイター/Cnsphoto)

ジェニー・バイさんは、北京のあるインターネット企業の厳しい面接を4回もくぐり抜け、最終的に内定を勝ち取った優秀なコンピューター科学専攻の10人の大学生の1人だった。

しかし、5月になってこの企業から内定取り消しを通告された。新型コロナウイルスの感染拡大や中国経済全般の悪化が理由だ。この点に今年1080万人と過去最高となった中国の大学新卒者が直面している大きな問題がある。

今月卒業したバイさんは「心配だ。就職先を見つけられない場合、どうすれば良いか分からない」と不安を隠せない。ただ、内定を取り消された企業名については、今後もその企業と良好な関係を維持したいと明らかにしなかった。

若者の失業率は18.4%

中国経済は昨年の不動産市場の冷え込みや地政学的問題、当局によるハイテク、教育など幅広い産業への締め付けで既に減速していた。そこに追い打ちをかけたのが、新型コロナウイルスを徹底的に封じ込める「ゼロコロナ政策」と言える。

一方で、数十年来で最悪の状況となった労働市場に、ポルトガルの全人口を上回る規模の中国の大学新卒者が、一斉に参入しようとしている。足元の若者の失業率は、全世代の3倍以上で過去最高の18.4%に達している。

こうした就職できない若者の大量発生が、中国社会にどう影響するかは全く読めない。

中国が何十年も高成長を続けてきた後で、職探しに苦労するという事態は、せっかく高等教育を受けてきた若者にとって全くの想定外だ。

社会の安定を最優先に考える共産党指導部にとっても、特に今年は習近平国家主席の続投が秋に正式に決まろうかという局面で、若者の雇用不安が起きるのはあまりにも間が悪い。

北京大学のマイケル・ペティス教授(ファイナンス)は「(中国の)政府と人民が交わした社会契約では、人民が政治に参加しない代わりに、生活水準が年々向上すると保証されている。だから、懸念されるのはいったんこの保証が崩れれば、契約の他の部分も変わらざるを得なくなるのではないか、という点にある」と述べた。

ハイテク雇用が大幅縮小

李克強首相は、大学新卒者の雇用確保が政府の最優先課題だと明言している。実際、新卒者向けにインターンシップ枠を設けている企業には、他の一般的な雇用支援措置を差し置いて補助金が支給される。

一部の地方政府は、起業する新卒者に低利の融資を提供。いくつかの国有企業は、民間で余剰化した非熟練雇用の一部を吸収する見通しだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

バークシャー、日本の5大商社株保有比率引き上げ 約

ビジネス

バフェット氏「目を見張る」業績終わった、長期的に株

ワールド

ナワリヌイ氏遺体、母親に引き渡し 夫人は「拷問」と

ビジネス

米石油掘削リグ稼働数、11月以来の大幅増=ベーカー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:開戦2年 ウクライナが敗れる日
特集:開戦2年 ウクライナが敗れる日
2024年2月27日号(2/20発売)

アメリカの支援が途絶えればウクライナ軍は持たない。「ロシア勝利」後の恐怖の地政学とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 2

    ゼンデイヤのスケスケなロボット衣装にネット震撼...「まるでC-3PO」

  • 3

    ビートルズの伝説が始まったあの「初登場」から60年...熱狂の中、本人たちは「卑下」していた

  • 4

    ゼンデイヤのセクシー写真が「ボディ・シェイミング…

  • 5

    大雪で車が立ち往生しても助けなし...「不信の国」中…

  • 6

    ゴールドカードだけの感動体験を...新時代に「新たな…

  • 7

    「自分が望むようになっている」...メーガン妃の「疎…

  • 8

    「引退すべき」「チケット高いのに...」マドンナが「…

  • 9

    メーガン妃は今でも「プリンセス」なのか?...結婚で…

  • 10

    メーガン妃に「手を触られた」瞬間の、キャサリン妃…

  • 1

    ウクライナ攻勢を強めるロシアのドローン攻撃を、迎撃システム「バンパイア」が防ぐ「初の映像」が公開

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    【アウディーイウカ陥落】ロシアの近接航空支援や滑空爆弾に対しウクライナ軍の空域には穴が開いていた

  • 4

    日本人は知らない、能登半島地震に向ける中国人の視線

  • 5

    大雪で車が立ち往生しても助けなし...「不信の国」中…

  • 6

    ウクライナ戦争開戦から2年、NATO軍の元最高司令官が…

  • 7

    プーチンの顔面に「異変」が...「頬どうした?」と話…

  • 8

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    メーガン妃に「手を触られた」瞬間の、キャサリン妃…

  • 1

    日本人は知らない、能登半島地震に向ける中国人の視線

  • 2

    【能登半島地震】正義ぶった自粛警察が災害救助の足を引っ張る

  • 3

    一流科学誌も大注目! 人体から未知の存在「オベリスク」が発見される

  • 4

    ルーマニアを飛び立ったF-16戦闘機がロシア軍を空爆?

  • 5

    プーチンの顔面に「異変」が...「頬どうした?」と話…

  • 6

    情報錯綜するイリューシン76墜落事件、直前に大きな…

  • 7

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 8

    「まだやってるの?」...問題は「ミス日本」が誰かで…

  • 9

    シャーロット王女の「ただならぬ風格」...5つの「フ…

  • 10

    中国の原子力潜水艦が台湾海峡で「重大事故」? 乗…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中