最新記事

学び直し

自分で成長を止めないで...「このまま終われるか!」から始まる生き直し戦略

2022年6月7日(火)16時42分
flier編集部

「難しいことをわかりやすく」、キャリアに一番影響を与えた本

── 河合さんがこれまで読まれた本を振り返ってみて、ご自身のキャリアに影響を与えた本を紹介していただけますか。

小学生向けのお天気図鑑です。小学生の頃アメリカに住んでいた関係で、高校の現代国語では、日本語の長文を正確に理解するのが難しい場面がありました。一方で、天気の世界に入ったものの、空を4年間も飛んでいたのに、「なぜ、地上が雨でも、離陸後3分もすれば青空になるのか?」「なぜ、赤道付近で飛行機は揺れるのか?」がわからなかった。そこで小学生もわかるお天気図鑑で勉強を始め、手書きの「穴あけ問題集」をつくって自学自習をしました。天気の図鑑って、難しいことを子どもでもわかるように説明しているんです。子供向けの図鑑が理解できれば、難しい気象学の本や物理式も理解できる。気象予報士の試験も、子供向けの図鑑がきちんと理解できれば合格できます。

気象予報士として「ニュースステーション」に出演することになったときも、とにかく「視聴者にわかりやすく伝えよう」と心がけました。専門的な内容を、簡単な言葉で伝える。この大切さを教えてくれた天気図鑑は、本の執筆はもちろん、自分自身のキャリア自体に大きな影響を及ぼしてきているように思います。

── 河合さんはビジネスパーソンへのインタビュー時に「あなたにとっての仕事とは何か」と尋ねているということでした。河合さんにとっての仕事とは何ですか。

仕事は「背中にいれたものさし」のようなものですね(笑)。背筋をまっすぐ伸ばすように強制してくれるものさしがなかったら、私はだらだら過ごしていたような気がします。ものさしがあるから、自身と向き合えたし、周囲の人たちに貢献しようという気持ちが湧いてきた。ものさしがあるから、学び続けることができたし、愛をケチらずにすみました!これからも学びつづけなきゃ、って思っています。

コロナの時代は自分の原点に立ち返るきっかけにもなりました。今後も目の前の仕事を一つ一つきちんきちんとやっていく。それを継続していくことで新しいものや「これをやりたい」というものに出会えると思っています。

220601fl_inv02.jpg


河合薫(かわい かおる)

健康社会学者(Ph.D.)、気象予報士。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。2004年東京大学大学院医学系研究科修士課程修了、2007年博士課程修了。産業ストレスやキャリア発達、健康生成論の視点から調査・研究を進め、働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は約900人に上る。

著書には『コロナショックと昭和おじさん社会』『他人の足を引っぱる男たち』『他人をバカにしたがる男たち』(以上、日経プレミアシリーズ)、『定年後からの孤独入門』(SB新書)などがある。

flier編集部

本の要約サービス「flier(フライヤー)」は、「書店に並ぶ本の数が多すぎて、何を読めば良いか分からない」「立ち読みをしたり、書評を読んだりしただけでは、どんな内容の本なのか十分につかめない」というビジネスパーソンの悩みに答え、ビジネス書の新刊や話題のベストセラー、名著の要約を1冊10分で読める形で提供しているサービスです。

通勤時や休憩時間といったスキマ時間を有効活用し、効率良くビジネスのヒントやスキル、教養を身につけたいビジネスパーソンに利用されているほか、社員教育の一環として法人契約する企業も増えています。

flier_logo_nwj01.jpg

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

プーチン氏、和平に向けた譲歩否定 「ボールは欧州と

ビジネス

FRB、追加利下げ「緊急性なし」 これまでの緩和で

ワールド

ガザ飢きんは解消も、支援停止なら来春に再び危機=国

ワールド

ロシア中銀が0.5%利下げ、政策金利16% プーチ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 8
    【独占画像】撃墜リスクを引き受ける次世代ドローン…
  • 9
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 10
    中国、ネット上の「敗北主義」を排除へ ――全国キャン…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中