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「世の中に良いことをしたい」と語る学生を必ず落とす役員の『納得の言い分』とは

2022年3月28日(月)16時35分
勝浦雅彦(電通 コピーライター・クリエーティブディレクター) *PRESIDENT Onlineからの転載

あなたがすべきは「初対面の相手に短時間で自分の人となりを伝え、興味を持ってもらう練習」なのです。

自己PR・志望動機を紙に落とし、あなたという人間を初対面で伝える、そのOBの経験に基づいたフィードバックをもらうことに多くの時間を割いてもらってください。

そして④。そのOBとのつながりは、仮にその会社に縁がなかったとしても続いていきます。同じ業界はもちろん、異業種であっても、潮が満ちれば再びその会社への道が開けることもあります。そうやって温め続けたつながりによって転職を成し遂げた仲間は枚挙にいとまがありません。くれぐれも「落ちたから音信不通」はやめましょう。

ところで、「行きたい会社にあまりOBがいないのですが、どうしたらいいですか?」という質問をたまに受けますが、答えは「手繰たぐり寄せろ」です。

日常の延長線上の友人や教授などのつながりに加えて、今はソーシャルメディアもあります。わらしべ長者のようにつながりを伝っていきながらあくまで迷惑をかけないかたちで、どんどん人脈をつくっていくことは可能です。

ちなみに、同僚にO森さんという優秀なコミュニケーションデザイナーがいるのですが、彼は会社にほとんどOBのいない大学の出身でした。O森さんはどうしても入社したい、OB訪問をしたい、という一心で何をしたと思いますか?

毎日スーツで会社の前まで行き、掃き掃除をしました。そしてゲートから出てくる社員に声をかけOB訪問をお願いし続けたのです。最初は訝しがる社員もいましたが、そのガッツを意気に感じて多くの社員が応じてくれ、「どうしてもうちの会社に入りたくてゲートの前でアタックしてくる学生がいる」ということが社内で評判を呼ぶようになりました。そして面接の時に「君が噂の......」という状態で、みごとに内定したのだそうです。

この話のポイントは、O森さんが「自分の頭で考えて、オリジナルの手法で道を切り拓いたこと」にあります。意のあるところに道は通ず、というやつですね。

もしあなたが同じことをしても、「前にも似たような学生がいたな」、あるいは「勝浦の本を読んだの?」と見透かされてしまうのがオチです。そもそも、もうこのご時世においては、会社の前で守衛さんにつまみ出されてしまうかもしれません。時代と条件によってとれる戦略は変わっていくのですから、常にオリジナルなものを編み出さなければなりません。

電通コピーライターによる添削「面接官の目にとまる志望動機文」

志望動機
最後に志望動機は、その会社に入って「何をやりたいのか」を表現するものです。よく「自分がやってきたことにつなげて志望動機を書けばいい」という説を目にします。

例えばこういう文章。


私はラグビー部の主将をつとめ、自分が得点を取るのではなく、「いかに気持ち良くパスを通して味方に得点をしてもらうか」を考え続け、大会で優勝しました。御社は人と社会の間でパスを通している会社です。私は御社で私なりの「パス」を通し続け、人と社会を元気にしたいと思い志望いたしました。

確かに、悪くはありません。自分の経験と企業の特性をつなげて表現がなされています。しかし、せいぜい20点というところでしょう。この文章にはある視点が決定的に欠けています。それは「なぜ、あなたのやりたいことがお金になるのか」です。

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