最新記事

働き方

理想の生活と未来の成功のため、今こそ「損して得とれ」の精神を大切に

Tipping the Work-Life Balance

2021年10月15日(金)11時58分
ドリー・クラーク(デューク大学フクア経営大学院客員教授)
ビジネスマン

C.J. BURTON/GETTY IMAGES

<コロナ禍で大きく変わった「働き方」と「ワークライフバランス」だが、仕事とプライベートの両方を充実させる新たな戦略とは>

新型コロナウイルス感染症は、突然、多くの人の働き方を変えた。「職場」はもちろん、いつどうやって仕事を終わらせるかも変わった。平日の昼間に運動をしたり、家族と時間を過ごしたり、一日中パジャマ姿で過ごしたりと、これまで存在した多くの境界線が曖昧になった。

デューク大学フクア経営大学院のドリー・クラーク客員教授は、新著『長期戦──すぐに結果が求められる世界で長期的な思考をする方法』(未邦訳)で、ポスト・コロナの時代に、仕事とプライベートの両方で目標を達成するクリエーティブな戦略を紹介している。以下はその抜粋。

■人間関係を大切にする

家族との時間なんて全く大切にしていないように見えるエグゼクティブが、「こんなに仕事を頑張るのも家族のため」と吹聴したりするのは、コロナ禍前はよく見られる風景だった。だが、人生は仕事とプライベートのゼロサムゲームではなく、戦略的な選択の積み重ねによって両方を充実させることができる。

ニューヨーク在住の写真家フィリップ・バン・ノストランドは、結婚式などのイベントの撮影で1日数千ドルを稼ぐ売れっ子だ。ところが、「サンフランシスコで開かれるよく分からないテクノロジー会議」の仕事を毎年必ず引き受けている。ギャラは1日500ドルなのに、なぜ?

それは、依頼主が交通費を負担してくれるから。ノストランドはサンタバーバラの出身で、この仕事を引き受けることで、東海岸から西海岸までの飛行機代を自分で負担することなく、実家を訪問することができる。「無料で帰省できる特典付きの半日仕事という感じだ」と、彼は笑う。

筆者も同じことをしてきた。80代の母を訪ねるきっかけにするために、ほかでは絶対に引き受けない激安の講演料で、ノースカロライナ州での講演の仕事をしてきた。

ベトナムやシンガポールやフランスなど外国での講演に母を連れて行ったこともある。思い出深いのは、カザフスタンで教える仕事をしたときだ。母は学生たちに大人気で、氷点下の寒さのなか、観光地を案内してもらった。

自分にとって本当に大切なことは何かを明確にすると、その優先順位に従って最適な決断を下すことがずっと簡単になる。

■理想の暮らしを追求する

これまでの選択を見直すもう1つのパワフルな方法は、自分にとって理想のライフスタイルを理解することだ。どこで、どんなふうに暮らしたいか。それを実現しようとすると、何が起こるのか。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ガザ住民のリビア移住計画、米大使館が報道内容を否定

ワールド

メキシコ海軍の訓練船、ブルックリン橋に衝突 2人死

ワールド

米最高裁、敵性外国人法での不法移民送還差し止め継続

ワールド

イスラエルとハマスが停戦交渉再開、ガザでは72時間
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我との違い、危険なケースの見分け方とは?
  • 4
    「運動音痴の夫」を笑う面白動画のはずが...映像内に…
  • 5
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」…
  • 6
    刺さった「トゲ」は放置しないで...2年後、女性の足…
  • 7
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 8
    MEGUMIが私財を投じて国際イベントを主催した訳...「…
  • 9
    飛行機内の客に「マナーを守れ!」と動画まで撮影し…
  • 10
    米フーターズ破綻の陰で──「見られること」を仕事に…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」する映像が拡散
  • 4
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 5
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 6
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 7
    トランプ「薬価引き下げ」大統領令でも、なぜか製薬…
  • 8
    ヤクザ専門ライターが50代でピアノを始めた結果...習…
  • 9
    「運動音痴の夫」を笑う面白動画のはずが...映像内に…
  • 10
    宇宙の「禁断領域」で奇跡的に生き残った「極寒惑星…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 8
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 9
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 10
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中