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ロシア国営ガスプロムに欧州から厳しい視線 ガス価格高騰で

2021年10月8日(金)11時19分
ガスプロムのロゴ

天然ガス価格の高騰が続く欧州で、最大の供給元であるロシア国営天然ガス企業ガスプロムが厳しい視線を浴びている。写真はガスプロムのロゴ。サンクトペテルブルグで6月撮影(2021年 ロイター/Evgenia Novozhenina)

天然ガス価格の高騰が続く欧州で、最大の供給元であるロシア国営天然ガス企業ガスプロムが厳しい視線を浴びている。ガスプロムは欧州向けの長期契約を粛々と実行しているが、過熱するスポット市場の価格を抑えるためにもっとできることがあるのではないかとの声が、政治家などから出ているのだ。

欧州天然ガス価格の指標となるオランダTTFの価格は年初来で約600%上昇。在庫の少なさや、コロナ禍からの経済回復に伴うアジアなどからの需要急増が背景にある。

こうした中で欧州の天然ガス需要の35%を賄っているガスプロムは、供給契約で定められた約束は守っていると主張する。実際、イタリアのエネルギー企業ENIなど欧州の大手ガス7社はロイター宛ての電子コメントで、ガスプロムは長期契約義務を果たしていると認めた。ENIは「ガスプロムからは長期契約に記されたガス全量を受け取っている」という。

ただこの冬の暖房費が大幅に跳ね上がる消費者から突き上げられた欧州連合(EU)の政治家らは、ロシアによる追加的な供給は可能だと主張。ロシアは足元の価格高騰を利用し、ドイツ・ロシア間のガスパイプライン「ノルドストリーム2」の最終承認を巡る問題に影響力を行使する意図があると批判している。

EU側の言い分では、欧州に対するもう1つの有力供給元のノルウェーはスポット市場の買い手向けの供給量を増やして需要急増に対応しているのに、ガスプロムはそうした行動を取っておらず、価格高騰を助長している。EU欧州委員会のフォンデアライエン委員長は5日、「ノルウェーが増産に乗り出したことをわれわれは大変感謝している。だがロシアに関してそうした事例は見受けられない」と語った。

欧州議会は、ガスプロムに競争法違反の疑いがあるとして調査を求めている。ノルドストリーム2の開通を迅速に承認することを強いる目的で、ガスプロムはガス供給を増やそうとしないという主張だ。

ノルドストリーム2は、ロシア産燃料に対する欧州の依存度をさらに高めるだけだとして米国や一部欧州諸国が反対。ドイツは計画に基本合意しているものの、最終承認はなお数カ月先になる可能性がある。

ロシア側の主張

ガスプロムは、欧州のスポット市場に供給する義務はなく、欧州側が長期契約よりスポット市場に頼ると市場の不安定化を招くと警鐘を鳴らしたことがある。またロシアのプーチン大統領は6日、ロシアは供給を拡大して信頼できるパートナーとして振る舞っているが、EUは数年前のさまざまな措置を通じてスポット市場に軸足を傾け過ぎたと発言した。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は「私の知る限り、ガスプロムは常に欧州の顧客と連絡を取り、許容できる追加供給要請には全て応じている」と説明した。

もっともガスプロムは自社保有の在庫水準が低く、生産は過去最高水準に迫っており、ロシア国内の冬季の需要増大期も近づいているだけに、欧州への供給拡大余地がどれほどあるか定かではない。

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