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仮想通貨が利子収入を生む「レンディング」、年利6%でも得と言い切れない訳

2021年9月8日(水)11時27分
千野剛司(クラーケン・ジャパン代表)

年利6%が高くないわけ

イーサリアムの「通貨リスク」に対して、「デフォルト・リスク」、「カストディアン・リスク」、「信用・透明性リスク」を加えると、イーサリアムのハードルレートは6.82%〜7.46%となります。

イーサリアムのリスクシナリオ

210908kr_ce06.png

(出典:Kraken Intelligence ※上記のリスクレートは、CeFiのハードルレート発見のためだけに算出されたものであり、今回の原稿で紹介されたプラットフォームのリスクを測る上で、確立された手法ではありません)

さて、ここでイーサリアム預金で年利6%を提供するプラットフォームについて考えてみましょう。しかし、上記の表で示されたように、イーサリアムのハードルレートは6〜7%です。年利6%ではリスクに見合ったリターンではないと考えることができます。

仮想通貨レンディング市場は、間違いなくイノベーションの一つであり、プラットフォーム側の改善も進むと考えられます。ただ、銀行預金などと比較して、本当にリスクに見合うリターンが得られるのか、投資する前に精査する必要があるかもしれません。

[筆者]
千野剛司
クラーケン・ジャパン(Kraken Japan)- 代表 慶應義塾大学卒業後、2006年東京証券取引所に入社。2008年の金融危機以降、債務不履行管理プロセスの改良プロジェクトに参画し、日本取引所グループの清算決済分野の経営企画を担当。2016年よりPwC JapanのCEO Officeにて、リーダーシップチームの戦略的な議論をサポート。2018年に暗号資産取引所「Kraken」を運営するPayward, Inc.(米国)に入社。2020年3月より現職。オックスフォード大学経営学修士(MBA)修了。

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