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「戦場の霧」と化すトランプ、矛盾するシグナルの発信源に

2026年3月30日(月)17時00分
写真はイスラエルに向けて飛翔するイランのミサイル。3月27日、エルサレムで撮影。REUTERS/Jamal Awad

写真はイスラエルに向けて飛翔するイランのミサイル。3月27日、エルサレムで撮影。REUTERS/Jamal Awad

米軍とイスラエル軍がイランへの攻撃を開始してから1カ月が経過し、トランプ米大統領(‌共和党)は、世界的なエネルギー価格高騰と支持率低下に直面して厳しい選択を迫られている。選択肢は、不満が残る合意を結んで撤退する​か、軍事行動をエスカレートさせて大統領職を台無しにする可能性のある紛争長期化のリスクを背負い込むかだ。

イランは対抗策としてホルムズ海峡の事実上の封鎖で湾岸地域の石油・ガス輸送を締め付け、ミサイルやドローン(無人機)で周辺国への攻撃を続けている。

アナリス⁠トらによると、現在の核心的な問題はトランプ氏がイランとの戦闘を収束させる​用意があるのか、それともエスカレートさせる準備をしているのかという点にある。この戦闘は、過去最悪レベルの世界的なエネルギー供給ショックを引き起こしている。

ホワイトハウスの当局者によると、トランプ氏は側近に対して「終わりのない戦争」を避け、交渉による解決を図りたいと伝え、自身が公に示した4―6週間という戦闘期間を強調するようにと促した。この当局者は、そのような時間軸は「不安定」に見えると指摘した。

一方でトランプ氏は、交渉が決裂した場合には軍事行動を大幅に拡大すると脅している。

パキスタンを経由した裏ルートでイランに提示した15項目の和平提案を含めたトランプ氏の外交的な働きかけは、事態の収束を一段と切実に模索していることを示しているようだ。しかし、現時点で実りある交渉への現実的⁠な見通しがあるかどうかは依然不透明だ。

元米国家情報副長官(中東担当)のジョナサン・パニコフ氏は「トランプ氏にとってこの戦争を終結させる選択肢は、どこを見ても乏しい」とし、「課題の一つは、どのような結果が満足のいくものなのかが明確でない点にある」との見解を示した。

ホワイトハウスの当局者は、イランに対する作戦は「最高司令官が、わが国の目的が達成されたと判断し⁠た時点で終了する」と​主張した。

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