「戦場の霧」と化すトランプ、矛盾するシグナルの発信源に
拡大する戦争の封じ込めに苦慮
トランプ氏は中東にさらに数千人の米軍部隊を派遣しており、イランが自身の要求に応じない場合には地上部隊の投入を含めて攻撃を強化すると警告している。
アナリストらは、こうした脅しは米国をより長期にわたる紛争に巻き込むリスクがあり、イランへの地上部隊派遣は多くの米国民の反発を招く可能性があると指摘する。
専門家たちによると、米軍が「オペレーション・エピック・フューリー」と呼ぶ対イラン軍事作戦で大規模な空爆を実施し、イランの軍事力と核施設を弱体化させた後、トランプ氏が戦闘の目的は達成されたと勝利宣言を出して撤退するシナリオも想定されている。
だが、ホルムズ海峡の事実上の封鎖が完全に解消されない限り、そのような主張は空虚に響くだけだ。トランプ氏は、ホルムズ海峡の安全確保を支援するために軍艦を派遣することを欧州の同盟国が拒否したことに不満を表明している。
ホワイトハウスの当局者によると、トランプ氏は勝利を強調する発言を続ける一方で、神経質になっている金融市場を安心させるためにメッセージのトーンを徐々に変えている。側近らに対しては「戦争はまもなく終わる」と強調するよう促しているという。
しかしながら、明確な撤退戦略がないことはトランプ氏の大統領としての威信にとどまらず、議会で過半数を僅差で保っている共和党が11月の中間選挙で敗北するリスクももたらしている。
トランプ氏の最大の誤算は、イランによる報復が想定を上回っていたことだ。イランは抱えているミサイルやドローンでイスラエルや近隣の湾岸諸国を攻撃し、世界の石油の約5分の1が通過するホルムズ海峡を事実上封鎖することで世界経済に衝撃を与えた。
米首都ワシントンのシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のジョン・アルターマン氏は「イラン政府の賭けは敵対勢力より長く、より大きな痛みに耐えられるだろうというものであり、その見込みは正しいかもしれない」と指摘した。
ホワイトハウスの当局者は、トランプ氏が率いるチームはホルムズ海峡でのイランの対応に「万全の準備」を整えており、海峡が近いうちに再開されると確信していると発言した。
ところが、トランプ氏の不安が高まっていることを最も如実に示す兆候は今月23日に現れた。イランがホルムズ海峡を経由した船舶の航行再開を認めない場合には同国のエネルギー施設を攻撃するとけん制していたのを、攻撃を5日間延期すると宣言したのだ。26日には攻撃を4月6日まで10日間停止すると表明した。
同時に、国内での圧力も高まっている。
世論調査によると、イラン攻撃は米国民の間で圧倒的に不人気だ。ロイターとイプソスが23日発表した調査でトランプ氏の支持率は36%まで低下し、2期目の最低を更新した。
元トランプ政権高官はロイターに対し、ホワイトハウスは戦闘による政治への影響に対する懸念を強めており、共和党所属の議員たちが中間選挙への不安を表明していることが背景にあると語った。
共和党のロジャース下院軍事委員長は26日、イランへの軍事作戦の規模について十分な情報を提供していないとしてトランプ政権を批判した。
これに対し、ホワイトハウス当局者はトランプ氏の側近たちが戦闘の前後に何度も議会に説明してきたと反論した。





