トナカイとオーロラの地スウェーデン北部へ再生エネルギー狙い企業流入
鉱山大手LKAB、国営エネルギー大手・バッテンファル、鉄鋼大手SSABの合弁会社であるハイブリット(Hybrit)も、低コストの再生可能エネルギーにひかれて、スウェーデン北部、北極圏のイエリバレに進出した。同社は化石燃料を使わない製鉄を目指している。
同業のH2グリーン・スティールは、北極圏のわずかに南に位置するボーデンで、2030年までに化石燃料を使わない鉄鋼500万トンを生産する計画。ボーデンにほど近いルーレオにはハイブリットが化石燃料を使わない小規模な製鉄プラントを持っている。
米フェイスブックはルーレオで87億クローナ余りを投資し、電力を再生可能エネルギーのみで賄う初のデータセンターを設置した。
未来を先取り
バッテンファルの脱炭素部門を率いるミカエル・ノルドランデル氏はスウェーデン北部について「鉱工業が将来どのように姿を変えていくのかが見える窓のようなものだ。諸外国の将来像さえ、のぞけるかもしれない」と話す。
ルーレオなどの地域を含むノルボッテン県によると、同県は2016年のスウェーデン全体の温室効果ガス排出に占める比率が11%前後だった。ルーレオのカリナ・サメリ市長は「かつて企業はわれわれの気候変動問題への取り組みを邪魔していた。しかし今では変化の推進役になっている」と話す。
アワ・ワールド・イン・データのウェブサイトによると、スウェーデンは2017年の国民1人当たりの二酸化炭素排出量が4.26トンで、世界平均の4.8トンを下回る。
クリーンエネルギーの需要拡大は、直接、間接的に数千万人の雇用を生み出した。
ノードマーク雇用相は4月、「職を探すなら、北部への移動に目を向けるときかもしれない」と述べた。
スウェーデン当局によると、最も北に位置するノルボッテン県とベステルボッテン県は2020年の失業率がそれぞれ6.7%、6.4%で、全国平均の8.5%を下回り、国内最低。これは産業のグリーン化が一因だという。
ボーデンにあるH2グリーン・スティールのプラントの雇用創出は直接、間接合わせて1万人となる見込み。
ルーレオのサメリ市長によると、同市は今後20年間の労働需要を賄うために居住者を2万5000人増やす必要があるという。
(Simon Johnson記者)
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