最新記事

環境

「温暖化ガス45%削減せよ」 オランダ裁判所、石油大手シェルにCO2削減加速を命じる

2021年5月27日(木)10時17分
環境団体「地球の友」オランダ支部の関係者

オランダ・ハーグの裁判所は26日、英蘭系石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルの現行の温暖化ガス削減目標は十分でないとし、2030年までに19年比で45%削減するよう命じる判決を言い渡した。法律専門家や環境団体は画期的な判決だと評価した。写真は、判決を喜ぶ「地球の友」オランダ支部の関係者ら(2021年 ロイター/Piroschka van de Wouw)

オランダ・ハーグの裁判所は26日、英・オランダ系石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルの現行の温暖化ガス削減目標は十分でないとし、2030年までに19年比で45%削減するよう命じる判決を言い渡した。法律専門家や環境団体は画期的な判決だと評価した。

訴訟は環境保護団体グリーンピースや「地球の友」オランダ支部など7団体が、同国の1万7000人強の市民を代表して2019年に提起。環境運動家が訴訟によってエネルギー大手に戦略変更を迫る初めてのケースとなった。

シェルは判決に「失望している」とし、上訴する意向を示した。シェルを含むエネルギー各社には投資家や活動家、政府から、化石燃料への投資を削減し、再生可能エネルギーへのシフトを加速するよう圧力が強まっている。

シェルが今年発表した気候変動に関する戦略はエネルギー業界で最も野心的な部類に入る。温暖化ガス排出量を原単位(生産量当たり)で2023年までに16年比6%以上、30年までに同20%以上、35年までに45%以上、50年までに100%削減する目標を掲げた。

裁判所の判決文は、同社の戦略は「明確ではなく、さまざまな条件が付けられている。これは十分でない」とし、削減義務に違反する危険性があるとした。

シェルグループとサプライヤー、同グループの顧客も含め、30年までに二酸化炭素(CO2)排出総量を19年比で45%削減するよう命じた。

シェルのベン・​ファンブールデン最高経営責任者(CEO)は今月の株主総会で、排出原単位ではなく総量を対象とする削減目標について、主な達成手段は事業縮小だと述べて、受け入れを拒否していた。

アシャースト法律事務所のトム・カミンズ氏は今回の判決は「気候変動関連の判決としてはこれまでで最も影響が大きいことは間違いない」と指摘。

地球の友オランダ支部の幹部はロイターに「当団体だけでなく気候変動の影響を受けている全ての人にとって大きな勝利だ」と強調。「歴史的な判決で、主要な排出主体に削減を命じる判決が下されたのは初めてだ」と続けた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ米大統領、代替関税率を10%から15%に引

ビジネス

エヌビディアやソフト大手の決算、AI相場の次の試金

ワールド

焦点:「氷雪経済」の成功例追え、中国がサービス投資

ワールド

焦点:米中間選挙へ、民主党がキリスト教保守層にもア
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 2
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官が掲げる「新しいスパイの戦い方」
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 5
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 6
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 7
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 8
    「窓の外を見てください」パイロットも思わず呼びか…
  • 9
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 10
    揺れるシベリア...戦費の穴埋めは国民に? ロシア中…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワートレーニング」が失速する理由
  • 4
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 5
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 6
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 9
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 10
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中