最新記事

日本経済

株式市場はコロナショックからコロナバブルへ 実体経済と乖離する過剰流動性相場

2020年5月25日(月)17時45分

株価と実体経済のギャップが大きくなった現在の相場を「コロナバブル」と呼ぶ声が増え始めた。東京証券取引所で2018年10月撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

株価と実体経済のギャップが大きくなった現在の相場を「コロナバブル」と呼ぶ声が増え始めた。株価は半年後、1年後を織り込むと言われるが、それだけでは説明がつかないほど、両者のかい離が大きくなっているためだ。今の株高の原動力は金融緩和や財政支出などの経済政策。今後、株価の上昇が続くとしても、それは過剰流動性相場とみる関係者が多い。

緊急事態宣言がようやく全国的に解除される見通しだが、消費などの大きなダメージが残り、経済が元に戻るとの見方は少ない。日本の実質国内総生産(GDP)は1─3月1次速報の年率マイナス3.4%に続き、4─6月期は戦後最悪となるマイナス20%前後の落ち込みになるとの見通しもある。

しかし、日本株は大きく反発。日経平均<.N225>は3月19日の底値から、25日の高値まで約4354円(26.6%)の上昇。東証マザーズ指数<.MTHR>は3月安値から81%上昇し、「コロナ前」の2019年5月の水準に達している。

市場では「GDPは7─9月期に大きく反発する可能性がある。しかし、消費は完全に戻らず、その後は緩やかな回復になりそうだ。景気回復を織り込む今の株高はやや楽観的すぎる」(外資系証券エコノミスト)との見方は少なくない。

企業決算も見通しが立たない。直近の決算発表では、3月期決算企業の6割以上が今期の見通しを未定とした。前週末のPBR(株価純資産倍率)は解散価値の1倍水準だが、企業が今後、利益剰余金の取り崩しに走れば、それも怪しくなる。

個人投資家の買い

足元で目立つのは、個人投資家の買いだ。東証が発表した5月第2週の投資部門別売買状況で、海外投資家が1296億円の売り越しとなる中で、個人は1882億円と買い越し額が突出している。

岡三オンライン証券・シニアストラテジストの伊藤嘉洋氏は「今の個人投資家の買いは、過去に何度か起きたバブルの時を思い起させる。新規の顧客が増え続けており、それからすれば株価は下がらない」と話す。

1998─2000年にかけて起きたITバブルでは、個人の買いが株価上昇の原動力になった経緯がある。その際、投資マネーに流用されたのが、当時の金融機関の貸し剥がしから中小企業を救うため98年に施行された、中小企業金融安定化特別保証制度だ。無担保で5000万円まで保証をした同制度から株式市場に少なからずの資金が流入したとの見方が市場ではもっぱらだ。

当時、投資顧問会社を経営していた中小企業のオーナーは「困っていないのに借り入れして、自家用車を外車に買い替えたほか、当時急騰していたIT関連株で儲けて返済しようと目論む人が1人や2人ではなかった。今後の経済対策で似たような施策が打ち出されるのであれば、同じことが起きると思う」と証言する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日経平均は大幅続落、一時年初来安値 原油高止まりを

ワールド

焦点:NZ、住宅価格低迷で険しい経済回復 前首相も

ビジネス

インド、中国産レーヨン糸に反ダンピング関税勧告

ビジネス

NYラガーディア空港が閉鎖、エア・カナダ傘下機と地
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 2
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 3
    「カメラの目の前」で起きた爆発の瞬間...取材中の記者に、イスラエル機がミサイル発射(レバノン)
  • 4
    「胸元を強調しすぎ...」 米セレブ、「目のやり場に…
  • 5
    スウェーデン次期女王ヴィクトリア皇太子、陸軍訓練…
  • 6
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    「筋力の正体」は筋肉ではない...ストロングマンが語…
  • 9
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 10
    人気セレブの「問題ビデオ」拡散を受け、出演する米…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 4
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中