最新記事

世界経済

世界経済、コロナショックで20年は3%縮小 「1930年代の大恐慌以来の悪化」=IMF

2020年4月15日(水)07時40分

国際通貨基金(IMF)は14日、最新の世界経済見通しを発表し、2020年の世界の成長率が3.0%落ち込むとの見通しを示した。2016年10月撮影(2019年 ロイター/Yuri Gripas)

国際通貨基金(IMF)は14日、最新の世界経済見通しを発表し、2020年の世界の成長率が3.0%落ち込むとの見通しを示した。新型コロナウイルスによって経済活動が停滞し、1930年代の大恐慌以来で最悪の景気後退になるとの見方だ。

21年は5.8%増と、やや持ち直す見通し。ただIMFは「不確実性が非常に高い」とし、新型ウイルスのパンデミック(世界的大流行)の行方次第で予測より大幅に悪い結果となる可能性があると警告した。

IMFのチーフエコノミスト、ギータ・ゴピナート氏は声明で「21年は部分的な回復となる。経済活動は引き続き新型ウイルスの危機前の見通しを大幅に下回る見込みだ」と述べた。最善のシナリオの下、世界経済の生産高は2年間で9兆ドル減る見込み。ドイツと日本の国内総生産(GDP)を合わせた額を上回る。

ゴピナート氏は、新型ウイルス感染拡大を受けた供給網の阻害のほか、感染拡大抑制に向けた渡航制限で、グローバリゼーションの恩恵が反転する恐れがあると指摘。グローバリゼーションの動きが巻き戻されれば経済の健全な回復は阻まれるとし、各国に対し医療用品などの輸出を制限しないよう呼び掛けた。

IMFの見通しは、大半の国で新型ウイルスの感染拡大が第2・四半期にピークに達し、下半期に後退することを想定している。この期間を通して事業閉鎖や外出規制が徐々に解除される想定だ。

パンデミックが第3・四半期を通して続いた場合、20年はさらに3%落ち込む見通し。事業破綻や失業の長期化の「傷」が残ることから21年の回復は遅くなる。

21年に再び感染が拡大し一段と規制せざるを得なくなった場合、基本シナリオに基づいた21年のGDP見通しは5─8%ポイント低下し、世界経済が2年連続でマイナス成長となる。

IMFは「世界経済は今年、大恐慌以来で最悪の景気後退に陥る可能性が高い。10年前の世界金融危機よりも深刻な状況となるだろう」と指摘。「大封鎖とも言え、世界経済は劇的に落ち込むとみられる」と見通した。

IMFと世界銀行は今週、新型ウイルスの感染拡大を抑えるためにテレビ会議で春季総会を開催している。総会は通常、ワシントンDCのIMF本部周辺に約1万人が集まる。


【関連記事】
・新型コロナウイルス対応で際立つ小池都知事の存在感 差を付けられた安倍首相
・新型コロナ危機は与党に味方した? 韓国総選挙
・夏には感染は終息する、と考えていいのか?
・気味が悪いくらいそっくり......新型コロナを予言したウイルス映画が語ること

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、中国に関税交渉を打診 国営メディア報道

ワールド

英4月製造業PMI改定値は45.4、米関税懸念で輸

ビジネス

日銀、政策金利を現状維持:識者はこうみる

ワールド

韓国最高裁、李在明氏の無罪判決破棄 大統領選出馬資
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中