最新記事

世界経済

世界経済、コロナショックで20年は3%縮小 「1930年代の大恐慌以来の悪化」=IMF

2020年4月15日(水)07時40分

先進国に深刻な被害

IMFのデータによると世界経済は09年に0.1%縮小した。1930年代以来の大幅な落ち込みだった。新型ウイルス感染が拡大する前の今年1月、IMFは20年に世界経済が3.3%増加するとの見通しを示していた。米中貿易摩擦が和らいでいる点を挙げ、21年も3.4%増の見通しだった。

現在感染拡大が最も深刻な先進国は、経済活動の急停滞の打撃が出てくる。IMFの最善シナリオでも、米経済は20年に5.9%減少。21年は4.7%増に回復するという。

ユーロ圏経済は20年に7.5%減。被害が最も大きいイタリアでは9.1%減。スペインとドイツ、フランスは8.0%と7.0%、7.2%それぞれ減少する。ユーロ圏全体の成長は21年に4.7%増と、米国の伸び率と一致する見通しだ。

新型ウイルスの感染拡大が第1・四半期にピークを付け、大規模な財政・金融政策によって経済活動が再開している中国は、20年に1.2%増となる見込み。1月の予測の6%増から大幅な下方改定となる。21年は9.2%増の見通し。

インドの成長率もプラス圏を維持する。一方、依然として感染拡大が伸びている中南米は20年に5.2%減となる見込みだ。

IMFは中銀によるスワップ協定を通じた流動性供給を、より多くの新興国に提供するように提唱。資金が米国債など比較的安全とされる資産に流れているため、新興国は封鎖措置に加え、金融逼迫の打撃も受けている。

またIMFは、国によって一時的に資本流出を制限する必要がある可能性にも言及した。

ゴピナート氏は、新型ウイルス感染拡大への対応で多くの国の債務が膨らんでいると指摘。ただ「金利が極めて低い水準にある限り、 われわれが予想している回復は実現し、回復により債務水準は次第に低下していく」とし、公的債務の対国内総生産(GDP)比率は来年は安定化し始めるとの見方を示した。

*内容を追加しました。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・新型コロナウイルス対応で際立つ小池都知事の存在感 差を付けられた安倍首相
・新型コロナ危機は与党に味方した? 韓国総選挙
・夏には感染は終息する、と考えていいのか?
・気味が悪いくらいそっくり......新型コロナを予言したウイルス映画が語ること


20200421issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月21日号(4月14日発売)は「日本人が知らない 休み方・休ませ方」特集。働き方改革は失敗だった? コロナ禍の在宅勤務が突き付ける課題。なぜ日本は休めない病なのか――。ほか「欧州封鎖解除は時期尚早」など新型コロナ関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国主席、APEC首脳会議で多国間貿易保護訴え 日

ビジネス

米国株式市場・序盤=ナスダック1.5%高、アップル

ビジネス

利下げでFRB信認揺らぐ恐れ、インフレリスク残存=

ビジネス

ECB、金利変更の選択肢残すべき リスクに対応=仏
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 5
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 8
    必要な証拠の95%を確保していたのに...中国のスパイ…
  • 9
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 7
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 8
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中