最新記事

韓国

出た! 新型コロナウイルス対応「コロナ保険」 何でもアリな韓国のユニーク保険 

2020年3月10日(火)20時15分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

漢江のほとりで濃厚接触をするカップルにもピッタリ? Kim Hong-Ji - REUTERS

<便乗商法との批判も何のその。スピード重視の韓国流ビジネスは保険の世界でも>

世界各国には様々なユニーク保険が存在するのをご存じだろうか? 特にお隣りの韓国では、ここ数年、たくさんのちょっと変わった異色保険が登場し人気を集めている。

世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス。韓国では感染者が7000人を超え、引き続き国民をあげて感染拡大防止に励んでいる。そんななか、ネット保険の最大手であるCarrot損保が3月4日から発売開始したのが「Carrot短期疾病安心保険」、通称「コロナ保険」だ。

この保険は、コロナウイルスの潜伏期間を考慮して最大2週間限定で発売された。加入後3カ月以内にコロナウイルスによる疾患で死亡または入院した場合に保険金が下りる。支給金額は、死亡時が最大1億ウォン、入院した場合は慰労金として1日2万ウォンが保証されている。

Carrot損保担当者は、コロナ保険販売について「今後も消費者が自発的に集まって、特定リスクについて共同購買や保障を受ける保険モデルを持続的に開発していく予定」とし、「このようなモデルを発展して顧客参加型保険プラットホームを発展させていく計画だ」と語った。

この保険は、万が一コロナに感染してしまったときに備えた保険の意味もあるが、一種のマーケティングや広告的な意味もあるようだ。

SARS、MERSのときにも登場した保険

韓国ではこれまでにも、韓国内でこのような疫病が流行した際には、それに合わせた保険がいち早く企画・発売されている。例えば、2003年にSARS(重症急性呼吸器症候群)が蔓延したときには、東洋生命がSARSに関連した保険「無配当守護天使ミスター・レディー医療保険」を発売した。

他にも、2009年7月から9月まで、現代海上火災保険は韓国旅行業協会とともに手を組み、外国人対象に当時流行中だったインフルエンザ保険を販売している。この商品は、韓国に入国した外国人観光客が入国日を含む10日以内に新型インフルエンザ感染し、その後感染日から30日以内に死亡すれば1億ウォンを支給するという内容だ。

さらに、現代海上火災保険は、2015年MERS(中東呼吸器症候群)が拡散した時にも外国人観光客対象にした「MERS安心保険」を発売している。この商品は外国人観光客が韓国へ入国後、20日以内にMERSにかかったという診断を受けた場合、治療補償金500万ウォンを保証するという内容だ。さらに、MERSと診断された後、20日間以内に死亡した場合は、最大1億ウォンの補償金が支給されるという保険だ。

このように、韓国人のせっかちな国民性とフットワークの軽さが、今まさに流行中の病気に立ち向かう商品実現を成功させた。ただし、実際に観光客らがこれに加入する例は少なく、どちらかというと会社の広告宣伝的な要素が強い。

もしも、このような宣伝が日本でされていたら、死者も出ているこのご時世で、病気を利用しているとして批判が集まりそうだが、韓国では実用性のある保険のアイディア商品として受け止められているようだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=反発、アマゾンの見通し好感 WBDが

ビジネス

米FRBタカ派幹部、利下げに異議 FRB内の慎重論

ワールド

カナダはヘビー級国家、オンタリオ州首相 ブルージェ

ビジネス

NY外為市場=ドル/円小動き、日米の金融政策にらみ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    必要な証拠の95%を確保していたのに...中国のスパイ…
  • 7
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 8
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 9
    【ロシア】本当に「時代遅れの兵器」か?「冷戦の亡…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中