最新記事

円高

円、NY外為市場で一時101円台 原油安や新型コロナウイルス懸念で

2020年3月10日(火)07時53分

終盤のニューヨーク外為市場では、安全通貨である円とスイスフランが急上昇した。原油価格や株価の急落が投資家の動揺につながり、リスク選好度が大幅に低下した。2017年6月撮影(2020年 ロイター/THOMAS WHITE)

終盤のニューヨーク外為市場では、安全通貨である円とスイスフランが急上昇した。原油価格や株価の急落が投資家の動揺につながり、リスク選好度が大幅に低下した。

ただドルは新興国通貨に対して上昇した。

米10年債利回りが一時0.40%を割り込んで過去最低を更新し、イールドカーブ全体が初めて1%を下回ったことも警戒感につながった。

テイラー・グローバル・ビジョン(ニューヨーク)のジョン・テイラー社長は「ドルはアジア通貨に対して堅調に推移し、新興国通貨を押し下げるだろうが、ユーロに対しては弱含むだろう。ドイツやスイスに資金が流入する一方、米連邦準備理事会(FRB)は無制限のレポ取引で世界を救っているためだ」と述べた。

FRBの金融調節を担うニューヨーク連銀は9日、銀行システムに十分な資金を供給するために、国債などを担保に資金を供給するレポオペの上限を引き上げると発表した。

ユーロ/ドル市場のボラティリティー指標は2017年4月以来の高水準に上昇。ユーロは1%超上昇し、19年1月以来の高値を付けた。

ドル/円の1カ月物インプライド・ボラティリティーは18%を超え、11年ぶりの高水準となった。

午後の取引でドル/円は一時101.20円と3年超ぶりの安値。終盤では約3%安の102.23円となっている。

円の3日間の上昇率は08年の金融危機以降の大きさ。過去12日間の上昇率は約9%となった。

ユーロ/ドルは1.4%高の1.1443ドル。取引時間中には一時1.1492ドルと昨年1月以来の高値を付けた。

ドル指数<=USD>は一時18年9月以来の安値に下落。終盤は0.5%安の94.913。

対スイスフランでは1.3%安の0.9280フランとなった。

原油価格に連動しやすい通貨も値動きが大きかった。

ノルウェークローネは過去最安値を更新。対ユーロでは4%安の10.857クローネ、対ドルでは3.1%安の9.535クローネとなった。

カナダドルは対米ドルで1.5%安。豪ドルやニュージーランドドルは対ドルで約2%安となった後に切り返した。

ドル/円 NY終値 102.34/102.37

始値 102.35

高値 102.60

安値 101.20

ユーロ/ドル NY終値 1.1447/1.1451

始値 1.1423

高値 1.1484

安値 1.1376

*表を更新しました。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・太陽の黒点は「予言」? 新型コロナは世界経済をさらに危機的状況へ
・新型コロナウイルス感染拡大にも慌てないフランスの手腕
・韓国、8日の新型コロナウイルス感染は過去10日で最低に 文在寅「安定局面に入る可能性」


20200317issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月17日号(3月10日発売)は「感染症 vs 人類」特集。ペスト、スペイン風邪、エボラ出血熱......。「見えない敵」との戦いの歴史に学ぶ新型コロナウイルスへの対処法。世界は、日本は、いま何をすべきか。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

独ZEW景気期待指数、5月はプラス転換 予想も上回

ビジネス

ホンダ社長、日産との統合協議再開「当分もうない」

ビジネス

世界経済の不確実性、貿易戦争終結でも続く=アイルラ

ワールド

パキスタン、インドの攻撃で約50人死亡と発表 40
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映った「殺気」
  • 3
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因は農薬と地下水か?【最新研究】
  • 4
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 5
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 6
    「出直し」韓国大統領選で、与党の候補者選びが大分…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    「がっかり」「私なら別れる」...マラソン大会で恋人…
  • 9
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 10
    ハーネスがお尻に...ジップラインで思い出を残そうと…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 7
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 8
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因…
  • 9
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中