最新記事

中国

「厳冬期」の中国映画業界、新型ウイルス感染拡大がとどめ刺す?

2020年2月15日(土)11時19分

中国の映画産業は、厳しい検閲、脱税の取り締まり、政府による新たな規制が、この業界で働く人々の雇用機会を奪ってきた。写真は2018年4月、山東省青島の映画館で撮影(2020年 ロイター/Aly Song)

中国の映画産業は、新型コロナウイルスの感染が拡大する前からすでに「厳しい冬」と呼ばれる惨状を呈していた。厳しい検閲、脱税の取り締まり、政府による新たな規制が、この業界で働く人々の雇用機会を奪ってきた。

新型肺炎は、この惨めな状態に拍車をかけたに過ぎない。

感染拡大を食い止めるため、中国全土の映画館は閉鎖され、大ヒットが期待されていた新作映画7本が、春節(旧正月)休暇に予定していた封切りを延期、あるいは中止した。

春節連休入り前日の1月24日、政府が大勢の人が集まる催しを見送るよう警告して以来、中国の映画興行収入は無きに等しい状態だ。業界団体は俳優らに、通知があるまで仕事に復帰しないよう要請した。

音楽プロダクション兼投資会社、太合娯楽集団のQiu Hongtao副社長は「中国の今年の興行収入は、コロナウイルス感染拡大の影響で昨年の半分に落ち込むだろう。危険が去るまで、だれも映画館には行かない」とロイターに話した。

「相当多くの映画館がつぶれるだろう。俳優や女優は仕事が無くてもなんとかやっていくしかないが、映画館は賃料や運営費の負担に押しつぶされる」──と予測した。

新型肺炎の拡大を受け、一部の製作会社は異例の措置に出て物議を醸している。

歓喜伝媒集団は、新作の製作費として6億3000万元(9000万ドル)を拠出してもらうのと引き替えに、大ヒットが期待されていたコメディー映画「ロスト・イン・ロシア」を北京字節跳動科技(バイトダンス・テクノロジー)のオンライン・プラットフォーム上で無料で公開。中国の映画界では、これに怒りの声が巻き起こった。

武道コメディー「燃えよデブゴン」の製作会社も同様の措置を取り、動画配信サービス大手 iQiYi(アイチーイー・爱奇艺)は、無料でオンライン公開すると発表した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル、ソマリランドを初の独立国家として正式承

ワールド

ベネズエラ、大統領選の抗議活動後に拘束の99人釈放

ワールド

ゼレンスキー氏、和平案巡り国民投票実施の用意 ロシ

ワールド

ゼレンスキー氏、トランプ氏と28日会談 領土など和
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 8
    赤ちゃんの「足の動き」に違和感を覚えた母親、動画…
  • 9
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 10
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中